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モンゴルの風に吹かれて [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

 現在、JICA調査団でモンゴルに滞在しています。モンゴル自然環境・観光省の自然保護センター建設援助のための調査です。モンゴルから報告します。

 今まで中国側の内モンゴル自治区には、2度行ったことがありますが、モンゴル国は初めてです。首都のウランバートルは、ビルが立ち並んでいますが、なんでも6階以上の建物はエレベーターの設置が義務付けられるので、それ以下の建物が多いとか。かつて住んでいた日本の公務員住宅を思い出してしまいました(公団住宅も同様でしょう)。それでも最近は建設ラッシュで、高層ビルや高層マンション(アパート)があちこちで建設中です。土地の値段、建設費も急激に高騰しているそうです。

 一方、街の中心部の周辺は丘陵です。斜面には、昔ながらのゲル(遊牧民のテント)集落も残っています。水道がないため、小さな子どもが両手で水のポリタンクを重そうに運んでいました。朝になると、炊事と暖房を兼ねたストーブの白い煙が、あちこちのゲルの天辺の煙突から出てきます。水分が40%もの生炭(石炭)のためですが、大気汚染も進んでいます。s-ゲル集落0055.jpg

 大気汚染は、急激に増加した車も原因です。市内はどこも大渋滞。これは、車も人も信号無視する交通ルールも原因でしょう。信号のある横断歩道でも、右折車が突っ込んできて、渡るのは命がけです。車優先の交通ルールは、どうも騎馬民族時代の意識が抜けていないような気もします。

 途上国で多く見られるオートバイの姿はありません。やはり、冬の寒さのせいでしょうか。もっとも、地方ではかつての馬の代わりにオートバイで、放牧の羊などを追っているそうです。雪が降り、路面が凍りついた今朝(10月22日)は、坂道を登りきれない車で渋滞していました。女子学生たちは、キャーキャー言いながら互いに押し合い、スケートのように滑るのを楽しんでいました。ホテルの窓からそんな光景をしばらく眺めていました。

 最高気温が零下5度、最低気温は零下15度の世界です。空気も乾燥しています。これからの真冬は、最低気温が零下40度にもなるそうです。零下40度の世界では、スパゲティをフォークで持ち上げると、ウインドウのロウ細工のようにそのままの姿で凍るそうです。私も北海道阿寒湖畔でのレンジャー時代に零下30度の世界を体験したことがありますが、そこまでではありませんでした。

 s-テレルジ0103.jpg休日を利用して、ウランバートルから程近いテレルジ保護区に行ってみました。幸い快晴でした。途中の草原では、羊、牛やヤクなどが放牧され、ゲル集落も点在していました。大草原がどこまでも続く景色を想像していましたが、意外と山が迫り、保護区はまさに岩山でした。やはり珍しいから、保護区に指定されたのかもしれませんね。

 すでに紅葉も終わり、これからの厳しい冬は地元のモンゴル人でも憂鬱のようです。しかし、短い初夏、大草原を渡ってくる風に吹かれながらのビールと、広い空を埋め尽くす星は、きっとすべてを忘れさせ、モンゴルに生まれた幸せを感じさせてくれることでしょう。そんな季節にまた訪れたいものです。

 (写真上) 市街地中心部周縁のゲル集落(ウランバートル(モンゴル)にて)
 (写真下) ウランバートル周辺では珍しい岩山の風景(テレルジ保護区(モンゴル)にて)
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mimimomo

こんばんは^^
モンゴルってそんなに寒いのですか(@@
モンゴルに行きたいと思っていました。椎名誠の本を読んでいよいよその思いを強くしたのですが、季節を選ばないといけないのですね。
by mimimomo (2013-06-05 21:02) 

staka

私も1回しかモンゴルには行ったことがないのでよく知りませんが、やはり内陸ですから寒暖の差が激しいようですね。
初夏、つまり今頃でしょうか、大草原の風に吹かれ、満天の星を眺めてみたいですね。ビールがあればなおさらですが(⌒_⌒)
by staka (2013-06-06 17:28) 

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