笛のいろいろ -民族楽器の多様性 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]
年に何度も研究で出かけているインドネシアでは最近は土産も買わないことが多いが、珍しく3月にはスマトラ島バタック族の横笛を買った。
別に意識をして収集しているわけでもないので、それほど珍しいものはないが、いつの間にか横笛だけでも10本以上が集まった。
今や、いつ、どこで買ったかも忘れつつある。さすがにアジアの横笛の材質のほとんどは竹だ。これに穴を開けただけの単純なもので、日本を含めて古来から宗教儀式や祭事などで使用されてきた。上の写真の中での例外は、上から2本目で、南アジアの木製のもの。
横笛は、吹き込んだ気流の振動で鳴らすもので、洋楽器のフルートに代表される楽器だ。吹き込む空気の流れを奏者が口で調節しなければならず、音を出すのも難しい。しかし要領は、子どもの頃によくやった空きビンに息を吹き込んで鳴らすアレだから、慣れれば音を出すことができる。
彫り込まれた線刻も、それぞれの民族紋様を示している。
これに対して、リードと呼ばれるヘラを振動させて鳴らすクラリネットなどの笛類もある。写真(下)は、日本の雅楽で使う笙(しょう)の仲間の楽器。アジア各地にさまざまな形が伝わっている。
横笛は、このリードを使用しないので、エアリード楽器とも呼ばれる。日本でも神楽や祭囃子などに昔から使用され、馴染みがある。用途により、篠笛、竜笛、能管など多様だ。写真は、青森ねぶた祭りの囃子笛(左)と竜笛(右)(写真の上は筒ケース)。
同じエアリードでも、日本の尺八やオーストラリア・アボリジニのディジュリドゥのように上から吹き込む縦型の笛(縦笛)もある。写真(左)は尺八。
わが家には、オーストラリア・アボリジニの木製とインドネシア・ヌサトゥンガラの竹製の、ともに背丈ほどのディジュリドゥも3本ほどある。
さらに縦笛でも、吹き込む空気の流れを一定にするためのダクトと呼ばれる構造をもつリコーダなどもある。こちらは、音を出すのは容易だ。写真(上右)は、アイリッシュ音楽のティン・ホイッスル。
東南アジアには、スリンと呼ばれる竹製の縦笛も各地で見られるが、写真(下左)は木彫のバリ島の縦笛。
似たような縦笛はラテンアメリカでも使用されている(上右)。
ほかにも様々な笛類がある。写真(下左)は、水牛の角を使用したリード型の笛。
私が横笛収集を始めたのは、自分がフルートを習い始めてからだ。そのフルートも、もともとは和楽器の横笛を習いたいと思いながらも願わず、30歳過ぎになってから近くで個人レッスンを始めた。
フルートもその起源は、アジアの竹製の横笛と同様の木製の横笛だ。それが穴をふさぐキーが改良され、材質も金属製になった。だから、金属製になった現代でも、木管楽器と呼ばれている。
写真上右のフルート(総銀製)は、私が所有する横笛の中では最も高価なものだ。しかし、最近では手に取ることもめっきり少なくなってしまった。
私が横笛に興味を持つようになった源といえば、東京・四谷の実家隣家にある能楽の観世家から聞こえてくる謡曲や鼓とともに聞こえてくる横笛(能管)の音色だったのだろう。
幼い頃から無意識に刷り込まれたものは、いつまでも残るようだ。
三つ子の魂百まで、ともいう。教育学部に籍を置く私としても、いやすべての人が心しなければ・・・ね。
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横笛という名前の響きそのものも魅力がありますね。
by JUNKO (2013-04-03 20:23)
JUNKOさん、ご訪問ありがとうございます。
横笛。
隣家の能管のほかにも、“笛吹童子”など、幼い頃の記憶が呼び起されるのでしょうか。(笛吹童子、ご存知ですか?)
by staka (2013-04-03 20:30)
ご訪問&ナイス有難うございました。
by sarusan (2013-04-04 15:55)
こんにちは^^
ご訪問ありがとうございます♪
笛も色々あるのですね。 父は尺八を吹いていました^^
by mimimomo (2013-04-07 14:25)
ご訪問、ありがとうございます。
素晴らしい笛のコレクションをお持ちですね。
私は、日本の篠笛を吹いていますが、韓国の横笛を一本、持っています。
by お水番 (2013-04-07 15:20)
mimimomoさん、お父様は尺八でしたか。私は人からもらって、ただ飾ってるだけです。
by staka (2013-04-07 16:32)
お水番さん、たまたま横笛が溜まりましたが、演奏はダメです。
かつてフルート発表会で息子のピアノ伴奏で吹いたことはありますが。
お水番さんのようにライブすることは夢のまた夢ですね。
by staka (2013-04-07 16:36)