四万温泉と川原湯温泉 ― 千と千尋、真田丸でも脚光? 歴史ある鄙びた温泉 [日記・雑感]
冬はホッコリと温泉へ。
と言っても、今回は昨年11月下旬の四万温泉と川原湯温泉(ともに、群馬県)。
四万温泉(しまおんせん)は、四万川沿いに5地区に分かれて温泉街が点在する。
温泉の起源には諸説があるようだが、その一つは、源頼光の家臣、日向守碓氷貞光がこの地を訪れた際に、四万の病悩を治す霊泉を授けるとの神託により発見したとされている。
この四万の病を治すというのが、四万温泉の名の由来となっている。
貞光は、自分の守本尊の薬師如来を安置した堂を建立したという。
その地は、現在の四万温泉の最奥で、貞光にちなんで日向見地区と称されている。
この地に現存する「薬師堂」(国指定重要文化財、明治時代の指定当時は国宝)は、徳川家康の開幕前、時の領主、真田信幸の武運長久のために建立されたという。
ちなみに、信幸は、NHK大河ドラマ「真田丸」などでも有名な真田幸村(信繁)の実兄だ。
本堂の手前には、信者や湯治客が泊まり込んでお参りをした「お籠堂」(町指定重要文化財)がある。
薬師堂の向かいには、かつての旅館跡地を中之条町が買い取って、源泉故事にちなんだ「御夢想の湯」という共同浴場(無料)を建設している。
入口から下に降りて浴場に入ると、内部もきれいで、四万川の渓流も望める。
四万温泉は、国民保養温泉地の第1号指定地でもある。
国民保養温泉地は耳慣れない人も多いと思うが、「温泉法」に基づいて指定されたもので、1954年に酸ヶ湯(青森県)と日光湯元(栃木県)とともに、四万温泉が第1号として指定された。
温泉法は、温泉の保全や利用の促進などのための法律で、温泉成分表示なども規定している。
所管は環境省だ。温泉が環境省というと意外に思われるかもしれないが、もともと厚生省が所管していたものを、環境庁設立(1971年)の際に、国立公園行政(自然公園法)などとともに移管したものだ。
したがって、国民保養温泉地に指定されているということは、単に泉質が良好で温泉効果があるだけではなく、健全な温泉地としての周囲の自然環境なども含めて、認定されているということになる。
その四万温泉を代表する旅館の一つが積善館で、元禄年間に建てられたという本館は、日本最古の木造湯宿建築として群馬県指定文化財にも登録されている。
湯宿が登場するアニメとして有名な「千と千尋の神隠し」のモデル、あるいは酷似していると言われる建物は海外(台湾)も含め各地に多いが、この積善館もその一つだ。
そのため、宿泊客以外にも多くの人が訪れている(私もその一人だが(*^.^*))
四万温泉の後背地には、四万川ダムにより造られた「奥四万湖」がある。
温泉成分の混入による懸濁微粒子によって青色光が散乱、反射して、湖面が深い青色や緑色に見える美しい湖だ。
「八ッ場ダム」(やんばダム)の工事現場にも出かけてみた。
半世紀もの間、地元は政治に翻弄され、最近になって本格的な工事が開始されたものとして、ご存知の方も多いだろう。
道の駅八ッ場ふるさと館の下側にダム本体が建設される。
周囲には、既にダム工事に伴う付け替え道路なども整備されている。
このダムの湖底に沈むのが、「川原湯温泉」だ。
川原湯温泉も、源頼朝が発見したという伝説を有する由緒ある温泉だ。
奇祭と言われる湯かけ祭りなどでも知られている。
現在では、旧温泉街への道は閉鎖され、新たな湖面より高い位置に新温泉街を造成している。
由緒ある川原湯温泉に入浴しないうちに閉鎖となってしまったが、最後まで残った(2014年閉鎖)共同浴場「王湯」の外観を見ることができた。
故事にちなんで、源氏の家紋の笹竜胆が入口壁面に掲げられていた。
王湯の向かいには、川原湯神社の鳥居が。
足元には供養塔なども。
これらは皆、ダムの完成とともに湖底に沈んでしまうと思うと、やはり感傷に駆られる。
そんな感傷や人々の思い出などには無頓着かのように、ダム工事は着々と進んでいる。
【本ブログ内関連記事リンク】
「開祖弘法大師と源氏の盛衰 修善寺温泉から三嶋大社 - 天城越えの旅(2)」
と言っても、今回は昨年11月下旬の四万温泉と川原湯温泉(ともに、群馬県)。
四万温泉(しまおんせん)は、四万川沿いに5地区に分かれて温泉街が点在する。
温泉の起源には諸説があるようだが、その一つは、源頼光の家臣、日向守碓氷貞光がこの地を訪れた際に、四万の病悩を治す霊泉を授けるとの神託により発見したとされている。
この四万の病を治すというのが、四万温泉の名の由来となっている。
貞光は、自分の守本尊の薬師如来を安置した堂を建立したという。
その地は、現在の四万温泉の最奥で、貞光にちなんで日向見地区と称されている。
この地に現存する「薬師堂」(国指定重要文化財、明治時代の指定当時は国宝)は、徳川家康の開幕前、時の領主、真田信幸の武運長久のために建立されたという。
ちなみに、信幸は、NHK大河ドラマ「真田丸」などでも有名な真田幸村(信繁)の実兄だ。
薬師堂本堂
本堂の手前には、信者や湯治客が泊まり込んでお参りをした「お籠堂」(町指定重要文化財)がある。
両脇が籠るための部屋で、間のアーケード部の先に本堂が
薬師堂の向かいには、かつての旅館跡地を中之条町が買い取って、源泉故事にちなんだ「御夢想の湯」という共同浴場(無料)を建設している。
入口から下に降りて浴場に入ると、内部もきれいで、四万川の渓流も望める。
四万温泉は、国民保養温泉地の第1号指定地でもある。
国民保養温泉地は耳慣れない人も多いと思うが、「温泉法」に基づいて指定されたもので、1954年に酸ヶ湯(青森県)と日光湯元(栃木県)とともに、四万温泉が第1号として指定された。
温泉法は、温泉の保全や利用の促進などのための法律で、温泉成分表示なども規定している。
所管は環境省だ。温泉が環境省というと意外に思われるかもしれないが、もともと厚生省が所管していたものを、環境庁設立(1971年)の際に、国立公園行政(自然公園法)などとともに移管したものだ。
したがって、国民保養温泉地に指定されているということは、単に泉質が良好で温泉効果があるだけではなく、健全な温泉地としての周囲の自然環境なども含めて、認定されているということになる。
その四万温泉を代表する旅館の一つが積善館で、元禄年間に建てられたという本館は、日本最古の木造湯宿建築として群馬県指定文化財にも登録されている。
湯宿が登場するアニメとして有名な「千と千尋の神隠し」のモデル、あるいは酷似していると言われる建物は海外(台湾)も含め各地に多いが、この積善館もその一つだ。
そのため、宿泊客以外にも多くの人が訪れている(私もその一人だが(*^.^*))
四万温泉の後背地には、四万川ダムにより造られた「奥四万湖」がある。
温泉成分の混入による懸濁微粒子によって青色光が散乱、反射して、湖面が深い青色や緑色に見える美しい湖だ。
「八ッ場ダム」(やんばダム)の工事現場にも出かけてみた。
半世紀もの間、地元は政治に翻弄され、最近になって本格的な工事が開始されたものとして、ご存知の方も多いだろう。
道の駅八ッ場ふるさと館の下側にダム本体が建設される。
周囲には、既にダム工事に伴う付け替え道路なども整備されている。
このダムの湖底に沈むのが、「川原湯温泉」だ。
川原湯温泉も、源頼朝が発見したという伝説を有する由緒ある温泉だ。
奇祭と言われる湯かけ祭りなどでも知られている。
現在では、旧温泉街への道は閉鎖され、新たな湖面より高い位置に新温泉街を造成している。
由緒ある川原湯温泉に入浴しないうちに閉鎖となってしまったが、最後まで残った(2014年閉鎖)共同浴場「王湯」の外観を見ることができた。
故事にちなんで、源氏の家紋の笹竜胆が入口壁面に掲げられていた。
王湯の向かいには、川原湯神社の鳥居が。
足元には供養塔なども。
これらは皆、ダムの完成とともに湖底に沈んでしまうと思うと、やはり感傷に駆られる。
そんな感傷や人々の思い出などには無頓着かのように、ダム工事は着々と進んでいる。
ダムに伴う橋梁工事現場
【本ブログ内関連記事リンク】
「開祖弘法大師と源氏の盛衰 修善寺温泉から三嶋大社 - 天城越えの旅(2)」
昔渋川から川原湯を通って草津スキー場へよく通ったもんです。
あの渓谷沿いの道はもう無いのですね~、なんか淋しい・・・
by トックリヤシ (2016-01-10 17:56)
こんばんは^^
この方面はまだ足を向けたことがないような気がします。
温泉地と言うと、昔の武将が絡んでいることが多いですね。
by mimimomo (2016-01-10 20:26)
トックリさん
懐かしい風景も、どんどん変わりますね。
by staka (2016-01-11 10:51)
mimimomoさん
世界を股にかけているmimimomoさんでも、まだでしたか?(笑
by staka (2016-01-11 10:53)
温泉や歴史探訪で大いに楽しめましたね。
連休が終わったのでもう正月気分も抜けましたね。
by 旅爺さん (2016-01-13 09:05)
旅爺さん
旅では新たな発見がたくさんありますね。
今年は正月休みが短かったので、連休で一息しました。
by staka (2016-01-13 10:47)