そこにある巨樹 ― 春日部駅近くの巨樹めぐり [巨樹・巨木]
長年勤務していても、家と勤務先の往復だけで、意外と周辺のことは知らないものだ。
ということで5月のことだが、勤務先に近い東武スカイツリーライン線春日部駅(埼玉県)東側の粕壁地区の巨樹めぐりをしてみた。
なお、この粕壁地区は、日光街道の宿場町で、「奥の細道」の芭蕉もこの地に宿泊したといわれている。
まずは、「碇(いかり)神社のイヌグス」。
春日部市市民文化会館近くにある無人の小さな祠の傍、推定樹齢600年、幹周約4.4mの巨樹だ。
南方に多いクスノキ科のイヌグス(タブノキ)としては北で生育しているということで、埼玉県の天然記念物にも指定されている。
樹勢は旺盛だが、治療によるコンクリート注入と支柱が痛々しい感じだ。
現在の碇神社の周囲は私有地に囲まれていて、もともとの参道からは入れないので、唯一開放されている市道から祠の裏側に入り込む。
市道の反対側は大落古利根川で、江戸時代には水運の重要路だったようだ。近くには下喜蔵河岸(しもきぞうがし)という船着場もあり、碇神社の名もそこが由来ともいう。
イヌグスは、この船着場への目印にもなっていたという。
大落古利根川を渡った八坂香取稲荷神社に隣接する「仲蔵院」には、樹齢250年という「牡丹つつじ」があるという。
250年もの古木、果たしてどんな巨樹か?
境内を勝手に探したが見当たらなくて、ついにお寺さんにお尋ねした。
なんと!! 樹勢が衰えてきて数日前に伐採したところだというではないか。
まだ白い切り口が、これまた痛々しい。残念。
それでも取り木用に残した枝に、一輪の花が残っていた。
どうやら八重咲のツツジのようだ。
最後の一輪。
まさにラッキーというほかない。
春日部駅近くの「最勝院」。
広い境内を有し、徳川三代将軍家光を日光に葬送する際には旅宿にもなったという。
門の奥の本堂脇にある墳墓の上には、大きなシイがある。
この墳墓は、南北朝時代に新田義貞の家臣として後醍醐天皇に仕えた春日部重行の墓という。
重行は、元弘の乱などの功により下河辺荘の武蔵国春日部郷(現在の春日部市内牧地区の一部)と上総国山辺郷の地頭職となり、春日部の祖ともいわれる。
墳墓の頂のシイの木は、巨大な墓碑として重行の功績を今に伝えんとしているかのようだ。
このシイの巨樹には、名前は付されていないのだろうか。
調べてみてもそれらしいものは見当たらない。
それならば、ということで勝手に命名してしまおうか。
「最勝院の墳墓のシイの木」はどうだろう? 「の」が多すぎるかな?
このほかにも、春日部市内に限らず、皆さんの身近なところにもまだまだ巨樹は多い。
しかし、いつの間にか邪魔になり伐採されるものも多い。
せめて名前でも付されていると、親しみも沸き、多くの人々が関心を持つことで、伐採を免れる場合もある。
巨樹に関心と愛着を持つ人々の年に一度の集い、「巨木を語ろう 全国フォーラム」も今年で29回目。
10月1日(土)と2日(日)に埼玉県秩父市で開催される。
私も共催者の全国巨樹・巨木林の会会長として参加するが、秩父路ではどんな巨樹がお出迎えしてくれるだろう。
全国巨樹・巨木林の会 全国フォーラム案内
http://www.kyojyu.com/forum/
多くの方に巨樹への関心と愛着を持っていただきたいと切に願います。
【本ブログ内関連記事リンク】
新緑の鞍馬寺・貴船神社 義経伝説とパワースポットを追って(3) 愛のパワースポット 貴船神社
巨木フォーラム in小豆島(2) ― 小豆島の巨樹めぐり
巨木フォーラム 群馬・高崎・倉渕
パワースポット 来宮神社の大クス
ほか、マイカテゴリー「巨樹・巨木」内記事をご覧ください。
ということで5月のことだが、勤務先に近い東武スカイツリーライン線春日部駅(埼玉県)東側の粕壁地区の巨樹めぐりをしてみた。
なお、この粕壁地区は、日光街道の宿場町で、「奥の細道」の芭蕉もこの地に宿泊したといわれている。
まずは、「碇(いかり)神社のイヌグス」。
春日部市市民文化会館近くにある無人の小さな祠の傍、推定樹齢600年、幹周約4.4mの巨樹だ。
南方に多いクスノキ科のイヌグス(タブノキ)としては北で生育しているということで、埼玉県の天然記念物にも指定されている。
樹勢は旺盛だが、治療によるコンクリート注入と支柱が痛々しい感じだ。
現在の碇神社の周囲は私有地に囲まれていて、もともとの参道からは入れないので、唯一開放されている市道から祠の裏側に入り込む。
市道の反対側は大落古利根川で、江戸時代には水運の重要路だったようだ。近くには下喜蔵河岸(しもきぞうがし)という船着場もあり、碇神社の名もそこが由来ともいう。
イヌグスは、この船着場への目印にもなっていたという。
大落古利根川を渡った八坂香取稲荷神社に隣接する「仲蔵院」には、樹齢250年という「牡丹つつじ」があるという。
250年もの古木、果たしてどんな巨樹か?
境内を勝手に探したが見当たらなくて、ついにお寺さんにお尋ねした。
なんと!! 樹勢が衰えてきて数日前に伐採したところだというではないか。
まだ白い切り口が、これまた痛々しい。残念。
それでも取り木用に残した枝に、一輪の花が残っていた。
どうやら八重咲のツツジのようだ。
最後の一輪。
まさにラッキーというほかない。
春日部駅近くの「最勝院」。
広い境内を有し、徳川三代将軍家光を日光に葬送する際には旅宿にもなったという。
門の奥の本堂脇にある墳墓の上には、大きなシイがある。
この墳墓は、南北朝時代に新田義貞の家臣として後醍醐天皇に仕えた春日部重行の墓という。
重行は、元弘の乱などの功により下河辺荘の武蔵国春日部郷(現在の春日部市内牧地区の一部)と上総国山辺郷の地頭職となり、春日部の祖ともいわれる。
墳墓の頂のシイの木は、巨大な墓碑として重行の功績を今に伝えんとしているかのようだ。
このシイの巨樹には、名前は付されていないのだろうか。
調べてみてもそれらしいものは見当たらない。
それならば、ということで勝手に命名してしまおうか。
「最勝院の墳墓のシイの木」はどうだろう? 「の」が多すぎるかな?
このほかにも、春日部市内に限らず、皆さんの身近なところにもまだまだ巨樹は多い。
しかし、いつの間にか邪魔になり伐採されるものも多い。
せめて名前でも付されていると、親しみも沸き、多くの人々が関心を持つことで、伐採を免れる場合もある。
巨樹に関心と愛着を持つ人々の年に一度の集い、「巨木を語ろう 全国フォーラム」も今年で29回目。
10月1日(土)と2日(日)に埼玉県秩父市で開催される。
私も共催者の全国巨樹・巨木林の会会長として参加するが、秩父路ではどんな巨樹がお出迎えしてくれるだろう。
全国巨樹・巨木林の会 全国フォーラム案内
http://www.kyojyu.com/forum/
多くの方に巨樹への関心と愛着を持っていただきたいと切に願います。
【本ブログ内関連記事リンク】
新緑の鞍馬寺・貴船神社 義経伝説とパワースポットを追って(3) 愛のパワースポット 貴船神社
巨木フォーラム in小豆島(2) ― 小豆島の巨樹めぐり
巨木フォーラム 群馬・高崎・倉渕
パワースポット 来宮神社の大クス
ほか、マイカテゴリー「巨樹・巨木」内記事をご覧ください。
こんにちは^^
現在春日部と言うとこの←字ですが、江戸の昔は粕壁だったのでしょうか。時代小説を読んでいると、この粕壁が出てきます。昔は宿場町でにぎわっていたのですね。大きな木があるのも頷けます。
旅行をしていると、時々立派な木、大樹、大木に出会います。そんな時stakaさんのことがちらっと^^
by mimimomo (2016-06-26 12:50)
mimimomoさん
頭に浮かべていただけるなんて、感謝感激です!!
宿場町時代は粕壁、現在もそのあたりの字名(町名)は粕壁です。
町村合併などにより春日部町が誕生し、現在の市名となったようですね。
by staka (2016-06-26 14:54)
春日部って苗字だったんですね
by soujirou-3 (2016-07-01 17:37)
soujirou-3さん
そうらしいですね。私も知らず、旧地名の「粕壁」が単純に異字で「春日部」になっただけだと思ってました(--,)
by staka (2016-07-01 18:31)