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宇美八幡宮は巨樹の森 一木で森を成す福岡の巨樹たち(1) [巨樹・巨木]

第32回巨木を語ろう全国フォーラム(2019年10月19日、福岡県宇美町)(前回記事「巨木の下での全国フォーラム 今年は福岡・宇美大会2019」)の翌日は、恒例の巨樹探訪エクスカーション。

まずは、フォーラム開催地の宇美町にある宇美八幡宮の巨樹。
前回記事でも紹介したとおり、宇美町は神功皇后が朝鮮半島出兵(三韓征伐)の帰路、応神天皇を出産した地とされる。

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町名もこの故事にちなんでいるが、神社も安産信仰「子安の杜」として知られている。
境内末社「湯方社」の周囲には、安産のお礼に子どもの名前などを記入した玉石が積み上げられている。

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また、神功皇后が木の枝に取りすがって応神天皇を出産したと伝えられる社殿脇のエンジュの木は、「宇美宮の槐(えんじゅ)」として代々更新されてきた。

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宇美八幡宮境内の二本の国指定天然記念物のクスノキの巨樹も、これらの出産にまつわる伝承を受け継いでいる。

社殿右手の「湯葢(ゆぶた)の森」(幹周15.7m)は、この木の下で産湯を使った際に、枝葉が覆いかぶさって蓋の役割をしたと伝えられる巨樹だ。

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根元に6畳ほどの空洞があるというその太さには、圧倒される。

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社殿の左手奥にある「衣掛(きぬかけ)の森」(幹周20.0m)は、出産の際に産衣を掛けたとされ、樹齢は千年とも二千年ともいわれている。

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さすがに寄る年波には勝てずに弱ってきたが、2002年には大治療がなされ、樹勢は回復してきている。

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この二本のほかにも、境内には多くのクスノキの巨樹が生育し、「蚊田(かだ)の森」として県天然記念物に指定されている。

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クスノキは、日本一の「蒲生の大クス」(幹周24.2m)をはじめ、トップ10の半数以上を占める巨樹になる樹種だ。
衣掛の森も、全国トップ10に名を連ねる。


衣掛の森も、湯葢の森も、全国巨樹・巨木林の会初代会長の里見信生・元金沢大学教授が作成した「巨樹見立番付」の樟(クスノキ)の部では、それぞれ東西の張出横綱となっている。

宇美八幡宮の湯葢の森や衣掛の森は、まさにその名のとおり「一木で森を成す」巨樹だ。
古くから信仰を集め、国の天然記念物に指定され、クスノキの中でも巨樹中の巨樹たちだ。



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