ちくま新書『生物多様性を問いなおす 世界・自然・未来との共生とSDGs』出版 [生物多様性]
題名は「生物多様性」ですが、自然科学(理科)だけではなく、歴史、地理、政治、経済、社会、倫理、民族など幅広い分野が含まれています。
単なる理論や知識だけではなく、実際の体験や映画などの話題も豊富。
生物多様性を問いなおす
世界・自然・未来との共生とSDGs
著者:高橋 進(著)
レーベル:ちくま新書(1542)
出版社:筑摩書房 (2021/1/10)
新書:286ページ
価格:880円(税込968円)
ISBN : 978-4-480-07365-5
【商品解説】SDGsを見据え、将来世代に引き継ぐべき「三つの共生」とは? 地球公共財をめぐる収奪・独占という利益第一主義を脱し、相利共生を実現する構図を示す。
【「TRC MARC」の商品解説】生物多様性を、「生物資源」と人類の「生存基盤」というふたつの価値と、その両方を統合した「地球公共財」と位置づけて考察。自然共生社会の実現やSDGsを見据え、将来世代に引き継ぐべき「3つの共生」を提起する。
【目次】
プロローグ 混乱の中での問いかけ
第一章 現代に連なる略奪・独占と抵抗
1 植民地と生物資源西洋料理とコロンブスの「発見」/ヨーロッパの覇権/チョウジと東インド会社/プラントハンターと植物園/日本にも来たプラントハンター/日本人が園長―ボゴール植物園物語/ゴムの都の凋落
2 熱帯林を蝕む現代生活そのエビはどこから?/東南アジアのコーヒー栽培/インスタントコーヒーとルアックコーヒー/ほろ苦いチョコレート/日本に流入するパームオイル/地球温暖化と生物多様性/熱帯林の消失
3 先進国・グローバル企業と途上国の対立先住民の知恵とバイオテクノロジー/グローバル企業と生物帝国主義/搾取か利益還元か/農業革命と緑の革命/品種改良と遺伝子組換え/バイオテクノロジー企業の一極支配/途上国と先進国の攻防/生物多様性条約/遺伝子組換え生物の安全性をめぐって/名古屋議定書=生物の遺伝資源利用の国際的ルール/ポスト愛知目標からSDGsへ
第二章 地域社会における軋轢と協調
1 先住民の追放と復権放逐された人々/保護地域の発生/国立公園の誕生と拡散/地域社会との軋轢と協調/先住民への土地返還/排除から協働へ/日本の国立公園は?
2 地域社会と観光植民地とサファリ観光/エコツーリズムの誕生/エコツーリズムと地域振興
3 植民地の残影から脱却するためにインドネシアの国立公園/地域社会と協働管理の胎動/多様な管理実態/エコツーリズムと地域住民
第三章 便益と倫理を問いなおす
1 生きものとの生活と信仰オオカミ信仰/駆逐か共生か/米国の捕鯨と小笠原/捕鯨をめぐる文化と倫理/もののけ姫―森の生きものと人間
2 生物絶滅と人間アイルランドのジャガイモ飢饉/第六の大量絶滅/眠れぬ夜にカの根絶を考える/生物多様性の誕生/キーワードは変遷する/生物多様性が必要な理由/絶滅生物は、炭鉱カナリアでありリベット一つである
第四章 未来との共生は可能か
1 過去から次世代への継承自然の聖地/世界遺産富士山/植物名と山岳信仰/現代に蘇る聖なる山/国境を越えた国際平和公園/悠久の時を生きる巨樹/巨樹―未来への継承
2 持続可能な開発援助とSDGs地域住民と連携した熱帯林研究/持続可能な国際開発援助/コスタリカの挑戦/SDGsの系譜/「環境の炎」が「開発の波」に打ち消される/生物多様性とSDGs
終 章 ボーダーを超えた三つの「共生」
世界・自然・未来との共生を目指して/生物多様性保全の二つのアプローチ/第三のアプローチ/「全地球的」問題か、「一地域の」問題か/「資源ナショナリズム」か、「地球公共財」か/生きとし生けるものへの眼差しの変化/人間は自然の「支配者」ではなく、「一員」である/三つの共生
エピローグ 幸せの国から
参考文献
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