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地球温暖化防止をめぐる国際関係 [地球環境・環境倫理]

 最近は、毎年のように国内や世界各地で異常気象が相次いでいる。誰もが地球温暖化の影響を疑うに違いない。しかし、1997年に京都で採択された温暖化防止のための世界の取り決めである「京都議定書」は、今年(2008年)から発効したばかりというのにすでにその実現は絶望的だ。このため、2007年12月にインドネシアのバリ島で開催された地球変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)では、京都議定書に代わる2013年以降の温室効果ガス削減の枠組み作りのための「バリ・ロードマップ」が採択された。2008年7月開催予定の北海道洞爺湖サミットでも、環境問題、特に地球温暖化防止についての議論が中心になるようだ。福田首相の最近の演説でも、温室効果ガス削減方針、そのための国内での「環境税」導入などがニュースとしてたびたび登場してきた。今回はこの地球温暖化防止を巡る世界の動きが話題だ。

 これまでこのブログでは、食料や薬品の原材料(生物資源)を巡る世界各国の動き、特に先進国と発展途上国の対立-南北問題-や米国の一国主義、さらに何気ない私たちの生活が東南アジアなどの自然を破壊していることなどを取り上げた。実は地球温暖化問題においても、これと同じような構図がある。

 温暖化を防止するには、その原因となる二酸化炭素など温室効果ガスの排出を抑制する必要がある。つまり、自動車や冷暖房などの使用を控え、産業を含めた社会生活全体でのエネルギー消費を少なくすることが求められる。こうなると、途上国の国々は、温暖化防止のためにこれからの経済発展が抑制されるのではないかと疑心暗鬼になる。温暖化がこんなに進んだのは、先進諸国が工業化などを進めた結果なのに、そのつけを途上国に負わせるのはけしからん、というわけだ。s-風力発電風車群.jpg

 先進国でも産業経済への影響を考えて反対の声は根強い。米国ブッシュ大統領はついに、グローバル化を進める産業界の声に押されて、2001年に京都議定書からの離脱を宣言した。世界をリードしてきた米国が、「一抜けた」と去ってしまったショックは、欧州や日本など京都議定書を実現しようとしてきた国々を落胆させた。京都議定書の発効が危ぶまれるなか、米国と同様に仲間入りを渋ってきたロシアが2004年11月に議定書を批准して、やっと議定書が動き出して世界は少しホッとしている。

 日本国内でも事情は同じだ。京都議定書は、1997年に京都で開催された条約第3回締約国会議(COP3)で、日本が議長国となって決定した。その実現は日本の悲願だ。しかし、日本はそこで約束した温室効果ガス排出量などの基準をとっくにオーバーしてしまっている。二酸化炭素など温室効果ガスの原因となる石油などの消費抑制を目指した環境税にも、産業界などからの抵抗がある。最近の夏のような猛暑ではエアコンも必需品で、国民も大量エネルギー消費、大量廃棄型の便利で快適な生活からはなかなか抜け出せない。頭では分かっていても、なかなか行動には移せない。

 環境問題には、このように政治や経済が反映され、さらには国や地域の歴史文化も反映される。そこからは個人の生き様までも見えてくる。

 (写真) 温暖化防止にも一役買う風力発電の風車群(米国・カリフォルニアにて)

(この記事は、2005年1月 タウンねっと No.11 に掲載されたものを現在の情勢に合わせて修正加筆したものです)

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