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環境都市宣言とグローカルについて考える -春日部市環境都市宣言発表セレモニー [地球環境・環境倫理]

 6月7日、春日部市の「環境都市宣言」発表セレモニーに出席した。地元の共栄大学で環境問題を講義していることから、市環境審議会会長を仰せつかっている。市長さん、市議会議長さんの挨拶のあと、審議会会長として挨拶をした。与えられた時間は10分程度。通常の挨拶よりは長めだが、宣言について解説するほどの時間はない。そこで、宣言の位置づけ、最近の環境問題の背景、宣言の要点など、ごく簡単に述べるにとどまった。

 今回の「環境都市宣言」など、多くの自治体で様々な宣言が発表されているが、それに安心してはいけない。宣言で環境問題が解決し、市内の環境が良くなるわけではない。むしろ、宣言は環境問題に取り組むスタートである。大学でのアンケートでも、世論調査でも、環境問題で一番の関心事は何と言っても、地球温暖化である。 現在、ポスト京都議定書に向けて各国で取り組み方を模索している。日本では、温室効果ガスの削減目標について経済派と環境派の対立と報道されているが、残念である。世界は、米国オバマ大統領のグリーンニューディール政策など、不況を乗り切る経済政策と環境対策の両立を目指している。日本では、すでにこれまで削減に努力をして、これ以上の削減は限界との意識が強い。それでも、つい先日(6月10日)、麻生首相が、それまでの経済界の要望(主張)を上回る温室効果ガスの削減目標を発表した。2020年までの排出量を05年比で15%削減(90年比で8%減)するというものだ。これは、多分に世界で環境問題のリーダーシップを取りたいという、政治的な背景からだろう。いずれにしろ、温暖化に真剣に対応しなければ、経済発展どころではなくなる恐れもある。

 地球環境問題は、どこか遠いところの問題ではなく、私たちにも直接関係ある問題だ。影響を受ける被害者であると同時に、加害者にもなり得るのだ。その意味では、国際社会でも、今や先進国だ、途上国だと、言い張っている段階ではないだろう。等しく、協力しなければならない。このことは、地球温暖化だけではない。これまで、このブログでも紹介してきたとおり、たとえば日本人が日常何気なく口にしているエビてんぷらやスナック菓子、あるいは住宅建材や紙パルプなどのために、東南アジアの熱帯林をはじめ、世界の森林、生物多様性が減少している(熱帯林の消滅)。

  春日部市環境都市宣言は、前文と3つの宣言からなる。宣言1は、自然との共生だ。春日部市は、首都圏のベッドタウンでもあるが、まだまだ田園地帯や雑木林も残っている。今の季節は、田に水がはられ、植えられて間もないイネの緑、そこに飛来するシラサギ、声を競うかのようなカエルなど、自然と生命の息吹を感じさせる。しかし、この自然や緑も、市内全域の緑地率は高くとも地域によっては低く、意識的に残す努力をしないと、気がつかないうちに消滅する恐れもある。宣言2は、低炭素社会。便利で快適な生活だが、これが地球温暖化などの原因となっていることも事実である。循環型社会だったと言われている江戸のまちの生活に戻るわけにはいかないが、つい最近まで多くの日本人が培ってきた「もったいない」の精神で、現代の生活様式を見直す必要はあるだろう。ノーベル平和賞を受賞(2004年)したワンガリ・マータイさんに言われるまでもないのではないだろうか。宣言3は、積極的な行動だ。行政、企業、市民が一体となって取り組むことが重要だ。環境問題の現状を知り、防止や改善のために、何ができるか、何をすべきかを一緒になって考え、行動することが必要だ。人任せにはできない。一人ひとりの行動参加が求められている。

 最近よく「グローカル」という言葉を耳にするようになった。これは、地球規模のグローバルと、地域のローカルの合成語だ。今や環境問題は、国際的な経済や政治を巻き込んだ、まさに地球規模の問題であると同時に、市民一人一人の協力がなければ解決できない地域の問題でもある。かつて頻繁に使用された、"Think globally, Act locally"の標語のとおりだ。「ちりも積もれば、山となる」という言葉もある。 一人ひとり、日常生活での積み重ねがいかに重要か。そして、私としては環境問題を考えた市民の行動に、ブログでも紹介した「お天道さまが見ている」を加えたい。


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