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巨木フォーラム in つるぎ町 -巨樹王国を支える人々の熱き想い [巨樹・巨木]

 去る5月29日(土)から30日(日)にかけて、徳島県つるぎ町で開催された「第23回巨木を語ろう全国フォーラム」に参加した。このフォーラムは、ブログでも何度か紹介しているとおり、巨樹・巨木を愛し、魅せられた人々が年に一度集うものだ。今回はタレントの高木美保さんや柳生真吾さんも参加するとあって、会場の貞光中学校体育館は約600人の聴衆であふれかえった。

 第1回は1988年に兵庫県柏原町(現、丹波市)で開催された。私は第1回フォーラムには環境庁(当時)の「巨樹・巨木林調査」担当者として参加した。それ以来、何度かフォーラムには参加しているが、今回は「全国巨樹・巨木林の会」会長としての参加だ。前回の鹿児島県蒲生町でのフォーラムにも参加したが、このときには次期会長として紹介されたわけだから、いわば今回が私の会長としてのデビューだ。全国巨樹・巨木林の会としては、フォーラムに先立ち午前中に第17回総会を開催した。フォーラムとは違って、こちらはこじんまりとした集まりだ。今回から、できるだけ会員相互の連携を取る意味で、活動報告などもお願いした。全国から馳せ参じて下さった会員の熱気が伝わる。

 前日に開催された巨木ツアーでは、エノキとしては全国一の「赤羽根大師のエノキ」をはじめとする一宇集落の巨樹巡りや四国一のトチノキ「桑平のトチノキ」と剣山、あるいは「津志嶽のシャクナゲ群落地」などを見学する4つのコースに、地元の方々も含めて多数が参加した。日程の都合で前泊できなかった私は、時間的に(体力的にも)余裕のある貞光の「二層うだつ」の街並みと国天然記念物「加茂の大クス」を見学するコースに参加した。

 s-加茂の大クス3203.jpg加茂の大クス(幹周約13m)は、昨年訪れた日本一の巨樹「蒲生の大クス」に比べれば確かに幹回りではやや劣るが、平地に枝を伸ばすその姿は、実に堂々として美しい。樹齢1000年と伝えられるが、今日に至るまでには、実に多難であったことは想像に難くない。もともと周囲は田んぼだったが、農薬などの影響もあり、ずいぶん樹勢が衰えた時期もあったようだ。そんな折に、地元の人々は衰え、枯損した大枝を断腸の思いで切り落とし、腐食防止のためにセメントを切り口に塗りこんだ。当時はまだ樹木治療技術が発達していなかったため、今から思えば少々手荒だったかもしれない。さらに人々は、周囲の田んぼからの農薬を除くために、耕作地を買い上げて草地として残すことにした。大クスも、こうした人々の想いに応えるかのように元気を取り戻し、今では傷口のセメントも樹皮で包み込むほどになった。草地となった大クスの周囲には、大クスを見上げ、敬うために散歩する人々が絶えない。その人々のために公衆便所が設置されたが、その掃除も地元の人が自主的に担っている。そうした人々の巨樹への想いに支えられて、大クスは今日も40m以上もの見事な枝ぶりの雄姿で加茂の大地に屹立している。「巨樹」、そこには自然と人々の長い歴史の中での深い関係が刻み込まれている。全国巨樹・巨木林の会も、巨樹に魅せられ、巨樹を愛し敬う多くの人々に支えられて、二層も三層もの「うだつ」が上がるような会となることを願ってやまない。

 (写真上) 加茂の大クス(徳島県つるぎ町にて) 

 (関連ブログ記事) 「日本一の巨樹の町で全国巨樹・巨木林の会会長に就任」 「全国巨樹・巨木林の会と巨樹調査再考」 「巨樹の番付 -本多静六と里見信生」 「諏訪の御柱祭と巨樹信仰


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mimimomo

こんにちは^^
つるぎ町と言うことは剣山の傍かしら~
剣山はまだ登っていないのでそのうち行く予定です^^

by mimimomo (2013-05-04 15:17) 

staka

mimimomoさん、いつもご訪問ありがとうございます。
四国徳島県つるぎ町には「つるぎクラブ」が設立されていて、「つるぎの達人」が巨樹や剣山登山を案内してくれます。百名山の剣山へ是非どうぞ。
半田そうめんなどの名産もありますよ。
by staka (2013-05-04 16:04) 

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