津波とマングローブ林再生 -スマトラ島のマングローブ林から(1) [生物多様性]
あの大地震と津波の3月11日から4か月。被災地ではまだまだ復興への道のりは遠い。陸前高田市の高田松原に唯一残った1本の松は、人々の希望の象徴となっている。
津波といえば、2004年12月のスマトラ沖大地震に伴う津波で人々が流されていく映像も脳裏に焼き付いている。インドネシアでも、沿岸部に分布するマングローブは、これまで高潮の被害などを軽減してきた。しかし、燃料採取やエビ養殖池造成などのためにマングローブ林は減少してきている。
私が研究でしばしば訪れるスマトラ島南部のランプン州沿岸のマルガサリ地区でも、マングローブ林の減少による高潮で、沿岸部にあった小学校校舎が被害を受けたという。そこで州政府は沿岸堤を整備し始めた。沿岸堤とはいっても、わずか数メートルの高さの石積みで、満潮時に海水が浸入するのを防ぐ程度のものだろう。
研究協定を結んでいる国立ランプン大学では、マングローブセンターを設置してこの地区のマングローブ再生なども実践している。今年の2月には、共栄大学学生とランプン大学学生とでマングローブ植林を行った。この時には、図らずも地元小学生も参加してくれた。現地に着くまで、その情報はまったく知らなかったので、小学生たちの歌による大歓迎を受けて戸惑ってしまった。
マングローブは、人々の生活に様々な恩恵を授けてくれる。その一部の経済的な効用だけからマングローブを伐採し、人工物により残りの機能を代替させようとするのは、やはり人間の思い上がりではないだろうか。
一緒に植林をしたマングローブが一日も早く豊かに成長してほしい。小学生たちの明るい笑顔のように、彼らの未来もマングローブとともに明るく歩むことができることを願ってやまない。そして、日本の高田の一本松も、明るい未来の象徴となることを切に願う。
(写真上) 小学生たちとのマングローブ植林(後ろの石積みが沿岸堤)(インドネシア・スマトラ島にて)
(写真下) 以前に植林したマングローブ(インドネシア・スマトラ島にて)
文明国家と言う所が色んな自然を破壊していったのは事実だし、悲しいことですね。
植林をして少しでも緑を増やしていくことは大事なことですよね。
このごろ日本もやっと気づいて少しずつは自然を取り戻そうとしているように見えます。
by mimimomo (2013-09-29 11:38)
mimimomoさん、コメントありがとうございます。
私たちの快適な生活のために、自然が失われていくのは悲しいことです。
一方で、途上国といわれる国の人々が私たちのような“文明的”な生活をしたいというのを自然破壊になるからと止める権利もありませんね。
悩ましい限りです。
by staka (2013-09-29 11:47)