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街の緑陰 [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]

 暑い!! 暦の上では立秋とはいえ、毎年のことながら暑い。朝の散歩では、6時過ぎには太陽を避けて、日陰を探すようにして家まで帰ってくる。こんな時には、緑陰はありがたい。

 東京都心の新宿御苑では、周辺の新宿副都心などのビル街よりも平均2度ほど気温が低いという。樹木は太陽の日差しを避ける緑陰を作るほか、葉などからの蒸発散作用の際に気化熱を奪うから気温が低くなる。木陰をわたってくる風がさわやかなのは、このためだ。もちろん、フィトンチッドなどの効果もあるかもしれない。

 先日、所要で府中の某大学に行った際、途中の立派なケヤキの街路樹の哀れな姿に驚いた。日本では、台風などの影響で、枝葉が落ちる前に街路樹などの剪定をする習わしがある。どうやらこうして剪定されたらしく、太い枝も短く刈り込まれていた。せっかく緑陰をもたらしてくれるはずの街路樹が、これでは台無しだ。街路樹の下を日傘を差して歩く親子連れの姿が痛々しく思えた。s-府中ケヤキ街路Image083.jpg

 枝を刈り込まざるを得ない理由は、台風による落枝の危険防止だけではない。街路の隣接地(といっても、ここでは国有地のようだが)に落ち葉などが入り込むのを防ぐ目的もありそうだ。歩道の幅が狭いのが原因だ。

 その町の顔となり、人々に安らぎを与え、住みよいまちとする街路樹も、地域の人々にとっては迷惑となることもある。先のような落ち葉のほか、日陰をつくって洗濯物が乾かない、あるいは毛虫がわくなどの苦情が寄せられる。

 いわば、総論賛成、各論反対の世界だ。これは日本の街路樹に限ったことではない。あらゆる問題に存在する。海外でも、“NIMBY”(ニンビィ)として知られている。これは、“not in my backyard”の略で、町として必要な公共施設などでも、「自分の裏庭に来るのは反対」、との意味だ。各自治体でのごみ焼却・処分場や斎場、全国的には原発やその核廃棄物処理施設など、枚挙にいとまがない。

 かつて訪問したカナダのバンクーバーの街路樹は、剪定されることなく、誇らしげに枝を張り、緑のトンネルを街中に創造していた。ここでは落ち葉や日陰の問題は、どのように解決していたのだろうか。落ち葉による車のスリップやトロリーバスの架線に枝が接触するなど、きっと多くの課題もあるに違いない。s-バンクーバー街路樹0207.jpg

 日本でも、剪定をするよりも自由に枝を伸ばしたほうが、むしろ根付きもよくなり、台風での倒木被害も少ないとして、無剪定街路樹の方針の街も増えてきた。

 それにしても、降り積もった落ち葉の上を音を立てながら二人で歩く、そんなロマンチックな光景が似合う街を想像するのは、この暑さではまだ早いか?

 (写真上)剪定されたケヤキ並木(東京都府中市で)
 (写真下)緑のトンネル(カナダ・バンクーバーにて)

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mimimomo

こんばんは^^
アメリカ《ニュージャージー州》でも街路樹は剪定していなかったですよ。
落ち葉掃除のおじさんが秋には掃除をしていました。
個人所有のところはその家の責任。はっきりしていましたね。
土埃を立てないようにとか、結構煩かった。
by mimimomo (2012-08-11 20:51) 

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