インドネシアでヤギを喰らう [日記・雑感]
このところ研究調査でインドネシアを頻繁に訪れている。特に、スマトラ南部のランプンには、国立ランプン大学との共同研究、環境省環境研究推進費調査、科学研究費補助金などの研究調査で訪問する機会も多い。
インドネシアはイスラム国家なので、豚肉は食べない(キリスト教徒や仏教徒、バリ島に多いヒンズー教徒などは豚肉も食べるが)。魚介類のほかは、牛肉、鶏肉、ヤギ肉が主な肉類の食材だ。淡水魚や海の魚、さらにはエビやカニ、イカ、貝類などを使用した魚介類の料理は多く美味だ。牛や鶏も、焼き飯(ナシ・ゴレン)、焼きそば(ミー・ゴレン)あるいは野菜炒めなどに入っているほか、牛のオックステイルやばら肉のスープなども安くて美味い。鶏も最近はブロイラーが多いが、農家の庭先で飼育された地鶏(アヤム・カンポン)は絶品だ。
いろいろなインドネシア料理の中でも、ランプンで必ず一度は訪れる食堂(とてもレストランとは言えない)でヤギ料理を食べるのが楽しみになっている。初めて店の前を通りかかった時に、店先で焼いている串焼きの匂いに釣られて入って以来のひいきの店だ。日本でいえば、ウナギのかば焼き屋の匂いに釣られて入るようなものだ。最近はウナギも高くなって、なかなか入りにくくなったが。
サテ・カンビン(Sate Kambing)は、ヤギ肉の串焼き。ソプ・カンビン(Sop Kambing)は、ヤギ肉のスープ。先日も、一人でその両方を注文した。ヤギ肉は独特の匂いがあり、ヤギ乳やチーズも含めて、毛嫌いする人も多い。そのヤギ肉料理を2種類も注文したのだから、ヤギ肉の嫌いな家人ならあきれるだろう。しかし、確かに脂っこいものの、やや塩味の効いたそれは、なかなかのものだ。特に、甘辛いタレに付けて焼いたサテ・カンビンの香ばしい匂いと味は、日本の焼き鳥に勝るとも劣らない(サテ・アヤムという焼き鳥そのものも同様だが)。
ヤギ料理は、比較的庶民の料理で、調査に出かける山の村の食堂でも見かける。しかし逆に、都会の食堂のメニューではあまりお目にかからない。かつては、祭りごとや客人のもてなしには、鶏かヤギをつぶして料理したというが。
祭りごとでも、さすがに牛は高価で手が出せない。スラウェシ島のトラジャの葬式など特別な場合には牛を奉納するが、その頭数が権力・財力を示すとして、家の入り口に何頭分もの牛の頭骨を飾っているほどだ。
その点、ヤギはまだまだ庶民の食材だ。イドゥル・フィトリ(断食明け大祭)の前日近くになると、街中の道路の緑地帯などにもヤギが放たれて草を食んでいる姿をよく見かける。大祭が明けると、そのヤギの姿も見られなくなるので、きっと人々の胃袋の中に消えてしまったのだろう。
多様な民族と文化を誇るインドネシア。地方ごとに美味しい食材と料理がある。それに出会えるのも、旅の魅力の一つだ。
(写真右上) ソテ・カンビン(手前)とソプ・カンビン(白い飲み物はsirsakジュース)(ランプンの食堂で)
(写真左上) インドネシア料理の代表のひとつパダン料理(スマトラ島にて)
(写真右中) 地方の食堂(自分で選ぶ)(ジャワ島にて)
(写真左下) 牛は食料だけではなく、現在でも重要な動力手段(スマトラ島にて)
(写真右下) ヤギ飼育は山奥の村でも重要な換金手段(ジャワ島にて)
(関連ブログ記事)
「祭休みは文化か、悪弊か? -祭日と休日を考える」
「コーヒーを飲みながら 熱帯林とコーヒーを考える」
「そのおいしいコーヒーはどこから? -スマトラ島の国立公園調査」
「そのエビはどこから? -スマトラ島のマングローブ林から(2)」
「ドリアンの変わった食べ方 グルメな話題2題」
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いろいろなインドネシア料理の中でも、ランプンで必ず一度は訪れる食堂(とてもレストランとは言えない)でヤギ料理を食べるのが楽しみになっている。初めて店の前を通りかかった時に、店先で焼いている串焼きの匂いに釣られて入って以来のひいきの店だ。日本でいえば、ウナギのかば焼き屋の匂いに釣られて入るようなものだ。最近はウナギも高くなって、なかなか入りにくくなったが。
サテ・カンビン(Sate Kambing)は、ヤギ肉の串焼き。ソプ・カンビン(Sop Kambing)は、ヤギ肉のスープ。先日も、一人でその両方を注文した。ヤギ肉は独特の匂いがあり、ヤギ乳やチーズも含めて、毛嫌いする人も多い。そのヤギ肉料理を2種類も注文したのだから、ヤギ肉の嫌いな家人ならあきれるだろう。しかし、確かに脂っこいものの、やや塩味の効いたそれは、なかなかのものだ。特に、甘辛いタレに付けて焼いたサテ・カンビンの香ばしい匂いと味は、日本の焼き鳥に勝るとも劣らない(サテ・アヤムという焼き鳥そのものも同様だが)。
ヤギ料理は、比較的庶民の料理で、調査に出かける山の村の食堂でも見かける。しかし逆に、都会の食堂のメニューではあまりお目にかからない。かつては、祭りごとや客人のもてなしには、鶏かヤギをつぶして料理したというが。
祭りごとでも、さすがに牛は高価で手が出せない。スラウェシ島のトラジャの葬式など特別な場合には牛を奉納するが、その頭数が権力・財力を示すとして、家の入り口に何頭分もの牛の頭骨を飾っているほどだ。
その点、ヤギはまだまだ庶民の食材だ。イドゥル・フィトリ(断食明け大祭)の前日近くになると、街中の道路の緑地帯などにもヤギが放たれて草を食んでいる姿をよく見かける。大祭が明けると、そのヤギの姿も見られなくなるので、きっと人々の胃袋の中に消えてしまったのだろう。
多様な民族と文化を誇るインドネシア。地方ごとに美味しい食材と料理がある。それに出会えるのも、旅の魅力の一つだ。
(写真右上) ソテ・カンビン(手前)とソプ・カンビン(白い飲み物はsirsakジュース)(ランプンの食堂で)
(写真左上) インドネシア料理の代表のひとつパダン料理(スマトラ島にて)
(写真右中) 地方の食堂(自分で選ぶ)(ジャワ島にて)
(写真左下) 牛は食料だけではなく、現在でも重要な動力手段(スマトラ島にて)
(写真右下) ヤギ飼育は山奥の村でも重要な換金手段(ジャワ島にて)
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こんにちは^^
もう40年近く前ですが、イギリスでも普段はラム肉でしたね。
by mimimomo (2012-09-09 17:55)
とても美味しそうですね。
日本でも食べられるところはないのでしょうか。
by U3 (2012-09-16 11:28)
またまたインドネシアでヤギを喰らってきました。いけす魚料理もありましたよ。
by staka (2012-12-22 18:54)