SSブログ

消える湖の先住民族と野生動物 ― 国立公園 人と自然(海外編12) ロアガン・ブヌッ国立公園(マレーシア) [   国立公園 人と自然]

しばらくぶりで、サラワク州(マレーシア)の国立公園に戻ろう。
今回は、サラワク最大の内水面を有する「ロアガン・ブヌッ(Loagan Bunut)国立公園」。

サラワク州東部の都市ミリから車で3~4時間の奥地にある泥炭湿地が中心の国立公園で、面積は10,736ha、公園に指定されたのは1991年8月だ。

この国立公園のおよそ3分の2の面積を占めるのが、サラワク州で最大面積(約650ha)を誇る湖ロアガン・ブヌッで、先住民族ブラワン族の呼び名に由来する。

s-DSC00181.jpg

ブラワン族の人々は、この湖や川に一時的な漁師小屋を設置して魚を取ってきた。

s-DSC00212.jpg

国立公園管理事務所(↓写真)も、この伝統的な漁師小屋設置は許可してきた。

s-DSC00150.jpg

東南アジア各地では、国立公園の設置により先住民族などが公園地域から追放され、伝統的な生活が存続できない事例も多い。
地域住民の伝統を存続し、自然資源の保存と両立させるこの公園の管理方針に注目したい。

大きな“すくい網”を用いるスランバウ(Selambau)という伝統的な漁法は、水位が雨季と乾季とで大きく変化するこの地域に合わせた漁法だ。

s-DSC00222.jpg

s-DSC00221.jpg

ロアガン・ブヌッは、サラワクで最大の湖といっても、それは雨季の湛水した状態の時で、乾季には干上がって湖が消滅してしまうこともある。
何しろ、水深は高い時でもせいぜい3m、乾季には50㎝程度だ。

s-DSC00248.jpg


今回訪問した3月は、州西部のクチン周辺は連日の大雨だったが、東部のミリ周辺は何日も雨が一滴も降らない日が続いていた。

普段は国立公園管理事務所のすぐ下がボートの桟橋となっているが、乾季にははるか沖合(?)まで水たまりを歩いていかなければならない。

s-DSC00256.jpg

ボートに乗って湖にでると、熱帯特有の赤茶けた水面の先に続く湿地林と底抜けに青い空、白い雲。

s-DSC00202.jpg

湖からブヌッ川を下ると、多くの野生動物を観察することができる。
多いのはサギ類だが、大きなくちばしのホーンビル(サイチョウ)も見ることができた。

コンパクトデジカメだけれど写真撮影に成功したのは、真っ赤なくちばしにブルーの羽のカワセミの仲間、コウハシショウビンだ。
英名は、Stork-billed Kingfisherというが、和名、英名ともに、赤い大きなくちばしがコウノトリのようだということらしい。

s-DSC00241_3.jpg

ボートからは、オナガザルやワニも観察することができた。

しかし、この公園を訪れる利用者、特に外国人はまだ少ない。

エコツーリズムの観光客が多くなってこの公園の素晴らしさを知ってほしいと思う半面、ひっそりとこのまま残してほしい気もする。

自分勝手ながら、複雑な思いだ。
素晴らしい自然に接すると、いつもの悩みだ。

【本ブログ内関連記事リンク】

ツバメと壁画の大洞窟 ― 国立公園 人と自然(海外編10) ニア国立公園(マレーシア)

テングザルと食虫植物の天国(1) ― 国立公園 人と自然(海外編11) バコ国立公園(マレーシア)

テングザルと食虫植物の天国(2) ― 国立公園 人と自然(海外編11)バコ国立公園(マレーシア)

サラワク州クチンは猫の町!?






nice!(94)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 94

コメント 1

mimimomo

おはようございます^^
日本の四季も変化が大きすぎて大変だと思うのですが、乾季と雨季がはっきりしているこういう地域もそれなりに工夫が必要なのですね。
自然が一杯の所には行ってみたいです^^
by mimimomo (2016-05-23 09:53) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0