SSブログ

新年に当たり、休暇と国立公園利用を考える - 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(4) [保護地域 -国立公園・世界遺産]

年末年始の休日が終わり、いよいよ仕事が本格的スタート、と思った矢先、またまた成人の日の連休。土曜日を含めれば、3連休となる。

この間、帰省を含めて、観光旅行に出かけた人も多いことだろう。
一方で、往復の移動の際の混雑を考えて、出かけるのを控えた人も多いかもしれない。

安倍政権は「働き方改革」に力を入れて長時間労働を根絶するというが、電通の女子社員自殺と過労死認定の例を挙げるまでもなく、日本ではまだまだ長時間労働がはびこり、有給休暇取得率も低い。

昔(私が大卒で働き始めた頃)に比べれば、週休二日制の普及や、いわゆるハッピーマンデーの祝日法改正など、休日が増加したものの、なお長時間労働と休暇取得の少なさは相変わらずだ。

連休といっても、2~3日では、旅先でのんびりする暇もないのが実情だ。
往復の渋滞や混雑も、休日が短く、そこに集中するからだ。

夏休みもせいぜい数日間だから、ヨーロッパで広く実施されているバケーションのような長期休暇は、夢のまた夢かもしれない。

だいぶ間が空いてしまったが、以前のブログ記事で、政府(環境省)が発表した「ナショナルパーク 国立公園満喫プロジェクト」について取り上げた(スーパー国立公園?発表 ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(1)歴史は繰り返す?インバウンドを狙った国立公園誕生 ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(2)国立公園とナショナルパークの違い? ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(3))。

外国人観光客を国立公園に誘致するプロジェクトだが、長期休暇が多い欧米の観光客の国立公園利用の形態で思い当たることがある。

以前のブログ記事「自然と癒し -日本人は自然の中でのんびりと過ごせるか」でも紹介したが、生物多様性条約第1回締約国会議(COP1)がカリブ海のリゾート地ナッソー(バハマ)で開催された時、宿舎と会議場を日に何度となく往復する私が目にしたのは、朝から夕方まで浜辺のデッキチェアーで読書をしている欧米の観光客の姿だった。

s-日光浴(バハマ).jpg


それに対して、日本人カップルは浜辺にやってきて欧米人同様デッキチェアーに寝そべって飲み物を注文したものの、飲み終わるとそそくさと立ち去ってしまった。この間せいぜい30分。

欧米人の浜辺での「のんびり」ぶりは、この時だけではなく、あちこちで目撃した。
たとえばロンボク島(インドネシア)でも、海岸で何時間も本を読んだり、日光浴をしている人々を見かけた。

s-CIMG0462.jpg

冬季は太陽の顔も拝めない欧米高緯度地方の人々の生理的欲求かもしれないけれど・・・

富士箱根伊豆国立公園の箱根(神奈川県)の「芦ノ湖キャンプ村」での研究調査の際にも、日本人観光客は夕方到着して、翌朝は早々に出発して次の観光名所巡りに出かけていた。

これに対して、欧米人家族は、子どもたちは芦ノ湖畔で水遊びや虫を追いかけ、夫婦はケビンのテラスでのんびりとコーヒーを飲みながら談話や読書。そしてもう1泊。

s-CIMG0296.jpg

上↑の写真は、芦ノ湖キャンプ村のケビン(このテラスでのんびり)

キャンプでも日本では1泊が多いが、ロッキー山脈のヨーホー国立公園(カナダ)などではキャンピングカーで数泊して、一日中のんびりとコーヒーと読書、などの行動のグループが何組もいた。

s-CIMG0163.jpg


もちろん、欧米人でも、名所をあちこち駆け巡る観光も多い。

富士山関係の会議で富士河口湖町(山梨県)に富士急で出かけた時には、車内で富士山の写真を撮る多くの外国人観光客を目にした。

s-DSC02066.jpg


河口湖駅は、外国人観光客でごった返して、まるで新宿駅並み。周辺の食堂も、外国人観光客だらけだった。(欧米人も多かったけれど、それ以上に中国などアジア系外国人(言語からの類推だが)が多かったような気がするけど・・・)

しかし、欧米人の国立公園での観光は、動き回るだけではなく、その間にゆったりと滞在する時間を確保する点が、日本人観光客と違うようだ。

その理由は、国民性の違い、経済的な理由などいろいろ考えられるが、大きな理由として先の箱根での調査から浮かびあがたのが、日本人には「時間がない」だった(前記「自然と癒し」参照)。

確かに、1泊2日程度の旅行では、1カ所でのんびりしていては「もったいない」のかもしれない。

国立公園満喫プロジェクトで外国人観光客の誘致を図るにしても、単に観光地の紹介や多言語化だけではなく(これらはもちろん大事だけれど)、長期滞在できるような自然(景色だけではなく、一体になることができる自然)と施設(満足できる質・量と低廉な宿泊費)が必要だと思う。

でもその前に、
日本人自身がゆったり、のんびりできる社会環境(労働環境)の確保と、
自然の中でゆったり過ごす習慣の習得のほうが必要だけれどもね。

今年は、のんびり行きたいな~!


【本ブログ内関連記事リンク】

自然と癒し -日本人は自然の中でのんびりと過ごせるか

スーパー国立公園?発表 ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(1)

歴史は繰り返す?インバウンドを狙った国立公園誕生 ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(2)

国立公園とナショナルパークの違い? ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(3)

繋がる時空、隔絶した時空 -携帯電話・インターネット考

悠久の時そして林住期 -余暇と巨樹とを考える

祭で休みは、文化か、悪弊か? -祭日と休日を考える

インドネシアから帰国 -時間は流れる







nice!(47)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 47

コメント 2

mimimomo

こんにちは^^
なかなか面白い! わたくしは動き回る派^^ 
ゆったりするのは家で十分だからです。ゆったりするためだったら旅行なんて行かないです。
家に居ても日本の場合 四季折々楽しめますしね~
by mimimomo (2017-01-08 17:43) 

staka

mimimomoさん
動き回る派ですか!
いろいろな旅行の楽しみ方がありますよね。
今年はどちらに出かける予定ですか。

以前の「自然と癒し」記事↑で紹介したアレックス・カー『美しき日本の残像』では、「することがあっての自然」への接し方にやや批判的でした。
まぁ、人それぞれですよね・・・
by staka (2017-01-08 18:08) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0