湯河原の巨樹再び [巨樹・巨木]
忙しさにかまけてブログをお休みしているうちに、季節は飛ぶように過ぎて行ってしまった。
今年は特に花々が一斉に開いたような気がするのは、自然の移ろいに思いを馳せる余裕がなかったせいだろうか。
4月の庭の花々も、あっという間に満開になったと思ったら散ってしまった。
毎年春になると、藤の花を酢の物でいただいている。
甘い香りとともに、季節の味覚でもある。
ツツジ類も、彩りの競演だ。
ところで、ちょうど1か月前の桜がほころび始めた頃になるが、湯河原(神奈川県)での会合の際に、駅周辺の巨樹を巡ってみた。
源頼朝の旗挙げを支えた土肥次郎実平の居城もあった湯河原は、駅前に実平と妻の銅像が建立されている。
まずは、1年前にも訪れた土肥氏の菩提寺城願寺へ。
そこに聳えるのは国指定天然記念物「城願寺のビャクシン」。
この寺を建立した土肥実平のお手植えと伝えられ、樹齢は約800年、幹周6m、樹高20mの巨木で、かなわがの名木百選にも選定されている。
土肥一族の墓所からは、湘南の海も一望できる。
湯河原にあるもう一つの国指定天然記念物。
それは、「山神の樹叢」だ。
土肥実平の時代から山の神として崇められた小さな祠がある。
その周辺の約620平方メートルの暖帯性の常緑広葉樹林だ。
林内には、タブノキ、イヌマキ、クスなどの巨樹が繁茂しているが、かつてあったホルトノキの巨樹は現在では見ることができない。
山神の樹叢は、この暖帯性広葉樹林、特にまとまったホルトノキの樹林として最も北に位置する貴重な樹叢だったが、その巨樹を見ることができなくなってしまったのは残念だ。稚樹が成長して巨樹となるのを期待するばかりだ。
南北に長い日本列島では気温などの関係で、北海道ではエゾマツ、トドマツなどの常緑針葉樹林、東日本ではブナなどの落葉広葉樹林、西南日本ではタブノキ、クスノキなどの常緑広葉樹林が多く生育する。いわゆる「水平分布」だ。
こうして生物の多様性が形成される。日本が生物多様性の豊かな国と言われる所以だ。
この常緑広葉樹林は「照葉樹林」とも呼ばれ、日本で最大級の照葉樹林として有名な「綾の照葉樹林」(宮崎県綾町)は、ユネスコの生物圏保護区(ユネスコエコパーク)にも登録されている。
ちなみに、「水平分布」と対をなす「垂直分布」とは、標高が上がるにつれて気温が下がり、植物分布も麓の広葉樹林から針葉樹林、さらにお花畑へと変化する分布を示す。
登山の際に体験された方も多いことだろう。
さらに近くの産土(うぶすな)八幡神社に立ち寄った。1108年(天仁元年)の創立と伝えられるから、今年でちょうど910年。
その石段脇には、樹齢600年と伝えられる町指定天然記念物「産土八幡神社のクスノキ」やケヤキ(数本の合体)も聳えている。
巨樹巡りの後は、駅近くのレトロな感じの喫茶店で、ビーフシチューの昼食。
隙間もないくらい肉が盛られ、その肉がまたとろけるように柔らかい。
この店では値が張るメニューの一つだが、ビーフシチューが好物の私は、これを食べたいがために早めに家を出て巨樹巡りをしたくらいだ。
巨樹と歴史と御馳走と。のんびりと幸せを噛みしめた至福の一日だった。
そしてまた、あわただしい日々が続いている。
【本ブログ内関連記事】
城願寺のビャクシン 頼朝の旗挙げを支えた土肥氏の菩提寺
源氏との因縁 鶴嶺八幡宮と大イチョウ
行った と・こ・ろ
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甘い香りとともに、季節の味覚でもある。
ツツジ類も、彩りの競演だ。
ところで、ちょうど1か月前の桜がほころび始めた頃になるが、湯河原(神奈川県)での会合の際に、駅周辺の巨樹を巡ってみた。
源頼朝の旗挙げを支えた土肥次郎実平の居城もあった湯河原は、駅前に実平と妻の銅像が建立されている。
まずは、1年前にも訪れた土肥氏の菩提寺城願寺へ。
そこに聳えるのは国指定天然記念物「城願寺のビャクシン」。
この寺を建立した土肥実平のお手植えと伝えられ、樹齢は約800年、幹周6m、樹高20mの巨木で、かなわがの名木百選にも選定されている。
土肥一族の墓所からは、湘南の海も一望できる。
湯河原にあるもう一つの国指定天然記念物。
それは、「山神の樹叢」だ。
土肥実平の時代から山の神として崇められた小さな祠がある。
その周辺の約620平方メートルの暖帯性の常緑広葉樹林だ。
林内には、タブノキ、イヌマキ、クスなどの巨樹が繁茂しているが、かつてあったホルトノキの巨樹は現在では見ることができない。
山神の樹叢は、この暖帯性広葉樹林、特にまとまったホルトノキの樹林として最も北に位置する貴重な樹叢だったが、その巨樹を見ることができなくなってしまったのは残念だ。稚樹が成長して巨樹となるのを期待するばかりだ。
南北に長い日本列島では気温などの関係で、北海道ではエゾマツ、トドマツなどの常緑針葉樹林、東日本ではブナなどの落葉広葉樹林、西南日本ではタブノキ、クスノキなどの常緑広葉樹林が多く生育する。いわゆる「水平分布」だ。
こうして生物の多様性が形成される。日本が生物多様性の豊かな国と言われる所以だ。
この常緑広葉樹林は「照葉樹林」とも呼ばれ、日本で最大級の照葉樹林として有名な「綾の照葉樹林」(宮崎県綾町)は、ユネスコの生物圏保護区(ユネスコエコパーク)にも登録されている。
ちなみに、「水平分布」と対をなす「垂直分布」とは、標高が上がるにつれて気温が下がり、植物分布も麓の広葉樹林から針葉樹林、さらにお花畑へと変化する分布を示す。
登山の際に体験された方も多いことだろう。
さらに近くの産土(うぶすな)八幡神社に立ち寄った。1108年(天仁元年)の創立と伝えられるから、今年でちょうど910年。
その石段脇には、樹齢600年と伝えられる町指定天然記念物「産土八幡神社のクスノキ」やケヤキ(数本の合体)も聳えている。
巨樹巡りの後は、駅近くのレトロな感じの喫茶店で、ビーフシチューの昼食。
隙間もないくらい肉が盛られ、その肉がまたとろけるように柔らかい。
この店では値が張るメニューの一つだが、ビーフシチューが好物の私は、これを食べたいがために早めに家を出て巨樹巡りをしたくらいだ。
巨樹と歴史と御馳走と。のんびりと幸せを噛みしめた至福の一日だった。
そしてまた、あわただしい日々が続いている。
【本ブログ内関連記事】
城願寺のビャクシン 頼朝の旗挙げを支えた土肥氏の菩提寺
源氏との因縁 鶴嶺八幡宮と大イチョウ
行った と・こ・ろ
こんにちは^^
湯河原は地名をよく聞くので行った気になっていますが、行ったことがないかもしれめせん。
こう言う由緒のある寺社には巨木が多いですね。それだけ古いのですから当たり前かもしれないですが。
それでも樹木だって寿命がありますからね、「山神の樹叢」のホルトノキはそれで無くなったのでしょうか?
ところで藤のお花って食用になるのですか(@@? 初めて知りました。
by mimimomo (2018-04-30 15:17)
mimimomoさん
ご無沙汰しております。
湯河原やお隣の熱海あたりには、巨木が多いですね。熱海の木宮神社のクスノキは樹齢2000年を超えるともいわれるパワースポットですね(本ブログ内に記事あり)。
秋の菊の花と同じような感じで、春は藤の花ですね。
by staka (2018-04-30 17:50)
あれ? niceボタンが出てこないぞ。。。
by トックリヤシ (2018-04-30 17:59)
トックリヤシさん
本当ですね!
設定変えていないのに、niceボタンがありませんね。どうしたのでしょうか?
by staka (2018-04-30 18:34)
niceボタン、出ましたよ~!^^
石垣にも巨木があるのかな~と調べてみました。
市内新川の「真乙姥御嶽のオオバアコウ」がありました。
樹高12.2m、あああれか~ってな感じ
時々脇を通って見ていたのですが・・・、
今度じっくり見てみよう^^;
by トックリヤシ (2018-04-30 19:41)
トックリヤシさん
樹種によって太くなるもの、ならないもの、高くなるもの、ならないものと、様々ですね。
石垣島の巨樹、見てみたいです。
by staka (2018-04-30 21:11)