SSブログ

のんびり時間 のんびり空間 -瀬戸内直島 美術館 [日記・雑感]

 先日、香川県議会議員の方々の勉強会講師で、久しぶりに高松を訪問した折に、直島まで足を延ばした。直島は、昔は銅の精錬所とそこから排出された亜硫酸ガスなど公害の島として有名だったが、最近では安藤忠雄さん設計の「地中美術館」や本村地区の「家プロジェクト」などで有名だ。

 s-直島港オブジェDSC01306.jpg直島までは、高松からフェリーで約50分、高速艇で約25分だ。途中の船旅では、屋島、五色台、瀬戸大橋などが遠望できた。かつて高松に4年間住んだこともあり、どれも懐かしい風景だ。特に、フェリーでの“のんびり”とした船旅は、仕事に追われる日常では味わえない貴重な時間だ。なにしろ、船に乗ったら最後、直島に着くまでほかに何もすることはないのだから。船の中でパソコンを睨めて仕事をするなどという野暮なことをしない限りは。

 巨大な赤いカボチャのオブジェが出迎える直島の宮ノ浦港に到着して、町営バスで早速地中美術館に向かった。日曜日ということもあってか、入館チケットを買うのにも整理券が発行され、およそ20分ほど待たされたが、東京の美術展などでの待ち時間に比べれば大したことはない。

 s-瀬戸内海風景DSC01269.jpg美術館は、名建築家の設計だけあり、建物というよりは芸術作品そのものだ。内部の部屋(?)も、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルなどの作品という。当初予想していたような作品(彫刻や絵画など)というよりも、建築や空間構成そのものだ。私は芸術には疎いが、そこでの光と空間が織り成す雰囲気こそがアートなのだろう。

 ちょうど昼時にもなり、館内の「地中カフェ」でスモークサーモンとポテトサラダのサンドイッチとコーヒーを頼んだ。天気にも恵まれたので、屋外スペースで瀬戸内海の島々とそこを行き交う船を見ながら、のんびりと過ごした。

 正直言って、私にとっては美術作品を通して光の変化を鑑賞するよりも、実際の風景の中で日光や波の変化を楽しむ方が似合っている。実際、ジェームス・タレルの作品では、ガイドの解説に従ってみなければならず、のんびりととどまることはできなかった。

 s-直島本村家並みDSC01292.jpg地中カフェから眺めた瀬戸内の風景こそ、瀬戸内海国立公園として指定・保全されてきた、人と自然の相互作用により創り上げられた景観という芸術作品なのだ。この芸術作品をのんびりと眺めるための視点場の装置としては、地中カフェは贅沢過ぎるが最高の場のひとつでもあると思う。

 s-塩アイスDSC01307.jpg「島」という隔離された空間は、“のんびり時間”を満喫するにはもってこいだ。そしてまた、「島」はまさに、“のんびり空間”でもある。実際に居住している方々にとっては、そんな“のんびり”としたことは言っていられないだろう。のんびり時間やのんびり空間は、不便さと裏腹のことも多い。

 私が高松で過ごした時代は、四国そのものが隔離された島であり、それを解消するための地域住民悲願の瀬戸大橋が建設されていた時代だったのだ。

 しかし、今や“のんびり”とした時間も空間も貴重で贅沢なものとなりつつある。日常生活ではなかなか味わえない“のんびり”を非日常の旅で味わうことで、地域の活性化にもつながればと思う。


 (写真右上)宮ノ浦港で出迎える巨大なカボチャのオブジェ
 (写真左上)地中カフェ屋外スペースからの瀬戸内海風景
 (写真右下)本村地区の焼杉板壁の町並み
 (写真左下)直島の海水と太陽から作られた塩のアイス
           *「地中美術館」の建物等は撮影禁止のため、掲載写真はありません。

 (関連ブログ記事)
 「アルバニアのんびりカフェ
 「小笠原 世界遺産に登録!!
 「モンゴルの風に吹かれて
 「インドネシアから帰国 -時間は流れる
 「自然と癒し -日本人は自然の中でのんびりと過ごせるか
 「インドネシア通信事情 -ブログ未更新の言い訳
 「繋がる時空、隔絶した時空 -携帯電話・インターネット考


nice!(19)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 19

コメント 2

palette

ご訪問いただきありがとうございました。
記事、興味深く拝見しました。おっしゃるとおり、アート作品もさることながら、瀬戸内海の自然そのものが最高の芸術作品ですね。
本村の民家が見られなかったのは残念。それに、塩アイスも食べてないので、また行ってみたくなりました^^
by palette (2013-09-10 13:52) 

staka

paletteさん、そうですね、再訪してのんびりしたくなりますね。東京から時間と金をかけて行って、駆け足ではもったいない感じもします。もっとも、地中美術館だけに何度も行く気もしませんが。
paletteさんは塩アイスはまだのようですが、私もpaletteさんがご覧になった水玉模様カボチャのオブジェはまだ見ていません。
瀬戸内国際芸術祭で賑わう他の島にも行ってみたいですね。
by staka (2013-09-10 14:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。