噴火口に神をみる ご来光で賑わう聖なる山 -国立公園 人と自然(番外編7)ブロモ・テンゲル・スメル国立公園(インドネシア) [ 国立公園 人と自然]
信仰と芸術の源泉、富士山が世界遺産に登録されるのが秒読み段階になってきた。インドネシアにも信仰対象の山は多い。そのひとつブロモ山一帯は、観光地としても有名で、世界中から観光客を惹きつける。
ジャワ島東部に位置するブロモ・テンゲル・スメル国立公園は1982年に指定され、50,276haというジャワ島としては広大な地域には、ジャワ島最高峰のスメル(Semeru)山(3,676m)、活火山のブロモ(Bromo)山(2,392m)、古い火山で広大なカルデラと砂の海を有するテンゲル(Tengger)山などの複雑な火山群と4つの湖沼などが含まれている。
林業省統計によると、2011年の訪問者(観光客)約12万人のうち、外国人は2万人以上を占める。これは、コモドドラゴンで有名なコモド国立公園に次いで多い。ブロモ山は、インドネシアでも有数の観光地となっている。
ご来光を見た後、いよいよブロモ山に向う。向かう車のすべての車が四輪駆動車だが、火口原に到達して、その理由がわかった。まるで月世界かと思うような荒涼とした砂の海だ。
車から降りると、馬が待っている。この馬で山頂直下の階段まで行く。もちろん歩いても行けるが、火口原は歩きにくい。階段は細く、一応一方通行になっているが、多くの観光客でごった返している。
ほとんどの観光客は、階段の到達点までしか行かず、火口壁の頂上まで行くものは少ない。
今も噴煙を上げる火口に祈りながら花束を投げ込むと、願い事が叶うという。多くのインドネシア人や外国人観光客が花束を投げ入れている。
人口約2億人のインドネシアは、その9割がイスラム教徒といわれる。イスラム教は本来は一神教だから、聖地はあっても、山の神を信仰するはずはない。しかし、インドネシアには各地にアニミズム(多神教)的な土着信仰が色濃く残っている。
マタラム王国のイスラム教徒に追われて、マジャパヒト王国のヒンズー教徒は、険しい山地に逃げ込んだ。ブロモ山は、そのイスラム教以前のヒンズー教の時代からの聖地で、火口原にはヒンズー教寺院もある。周辺には、現在もヒンズー教徒のテンゲル人が多く住み、村には立派なヒンズー教寺院がある。
スラバヤへの帰途、泥に1万世帯以上が埋まったというシドアルジョ(Sidoarjo)に立ち寄った。天然ガスの試掘中にガスと泥が噴出し、8つの村が埋まってしまったという。現在でも泥は噴出していて、周囲には流出防止のための堤防がめぐらされている。
どうも掘りすぎて岩盤を突きぬいてしまったのが原因のようだが、いまだに自然災害か、人為災害かの論争があるようだ。このため、被害住民に対する補償も遅々として進んでいないという。
この泥噴出被害は、金儲けのために自然に無造作に手を付けて改変してきた人類に対する自然からの警告という気もする。しかし、人類全体のツケを負わされるのが、いつも力の弱い庶民だとしたら、なんともやるせない。
(ブログ内関連記事)
「聖なる山、トレッキングの山 -国立公園 人と自然(番外編6)リンジャニ山国立公園(インドネシア)」
「ゾウと人との共存を求めて -国立公園 人と自然(番外編1) ワイ・カンバス国立公園(インドネシア)」
「ゾウの楽園の背後にあるもの -国立公園 人と自然(番外編1追補)ワイ・カンバス国立公園(インドネシア)」
「インドネシアで最古の国立公園、周辺は別荘も多い避暑地 -国立公園 人と自然(番外編4)グデ・パンゴランゴ山国立公園(インドネシア)」
ジャワ島東部に位置するブロモ・テンゲル・スメル国立公園は1982年に指定され、50,276haというジャワ島としては広大な地域には、ジャワ島最高峰のスメル(Semeru)山(3,676m)、活火山のブロモ(Bromo)山(2,392m)、古い火山で広大なカルデラと砂の海を有するテンゲル(Tengger)山などの複雑な火山群と4つの湖沼などが含まれている。
林業省統計によると、2011年の訪問者(観光客)約12万人のうち、外国人は2万人以上を占める。これは、コモドドラゴンで有名なコモド国立公園に次いで多い。ブロモ山は、インドネシアでも有数の観光地となっている。
ビューポイントでご来光を待つ観光客
夜も明けてきたが、寒さがこたえる
ブロモ山観光には、幾つかの到達ルートがあるが、いずれも麓の村で仮眠をとり、午前3時頃出発して、ご来光を拝むのが一般的だ。それも、富士山などのように山頂からではなくて、外輪山外側のパナンジャカン(Pananjakan)山山頂(2,770m)のビューポイントから日の出に染まるブロモ山をはじめとするテンゲル火山群全体をみるのが一般的のようだ。夜も明けてきたが、寒さがこたえる
ご来光を見た後、いよいよブロモ山に向う。向かう車のすべての車が四輪駆動車だが、火口原に到達して、その理由がわかった。まるで月世界かと思うような荒涼とした砂の海だ。
車から降りると、馬が待っている。この馬で山頂直下の階段まで行く。もちろん歩いても行けるが、火口原は歩きにくい。階段は細く、一応一方通行になっているが、多くの観光客でごった返している。
ほとんどの観光客は、階段の到達点までしか行かず、火口壁の頂上まで行くものは少ない。
今も噴煙を上げる火口に祈りながら花束を投げ込むと、願い事が叶うという。多くのインドネシア人や外国人観光客が花束を投げ入れている。
人口約2億人のインドネシアは、その9割がイスラム教徒といわれる。イスラム教は本来は一神教だから、聖地はあっても、山の神を信仰するはずはない。しかし、インドネシアには各地にアニミズム(多神教)的な土着信仰が色濃く残っている。
マタラム王国のイスラム教徒に追われて、マジャパヒト王国のヒンズー教徒は、険しい山地に逃げ込んだ。ブロモ山は、そのイスラム教以前のヒンズー教の時代からの聖地で、火口原にはヒンズー教寺院もある。周辺には、現在もヒンズー教徒のテンゲル人が多く住み、村には立派なヒンズー教寺院がある。
麓のトサリ部落のヒンズー寺院
スラバヤへの帰途、泥に1万世帯以上が埋まったというシドアルジョ(Sidoarjo)に立ち寄った。天然ガスの試掘中にガスと泥が噴出し、8つの村が埋まってしまったという。現在でも泥は噴出していて、周囲には流出防止のための堤防がめぐらされている。
どうも掘りすぎて岩盤を突きぬいてしまったのが原因のようだが、いまだに自然災害か、人為災害かの論争があるようだ。このため、被害住民に対する補償も遅々として進んでいないという。
この泥噴出被害は、金儲けのために自然に無造作に手を付けて改変してきた人類に対する自然からの警告という気もする。しかし、人類全体のツケを負わされるのが、いつも力の弱い庶民だとしたら、なんともやるせない。
(ブログ内関連記事)
「聖なる山、トレッキングの山 -国立公園 人と自然(番外編6)リンジャニ山国立公園(インドネシア)」
「ゾウと人との共存を求めて -国立公園 人と自然(番外編1) ワイ・カンバス国立公園(インドネシア)」
「ゾウの楽園の背後にあるもの -国立公園 人と自然(番外編1追補)ワイ・カンバス国立公園(インドネシア)」
「インドネシアで最古の国立公園、周辺は別荘も多い避暑地 -国立公園 人と自然(番外編4)グデ・パンゴランゴ山国立公園(インドネシア)」
こんばんは^^
世界には色んな世界遺産があるのですね。あまりアジアのことは知らなかったです。
トレッキングのように山にも登れるようですね(^-^
もうそろそろ引退しないとと思いながら、こう言うのを見ると行きたくなります(^^ゞ
しかし凄い犠牲者がでたのですね~驚きました。シトアルジェ・・・
富士山が噴火したら~なんて頭に過ぎりました(__;
by mimimomo (2013-05-19 20:44)
mimimomoさん、ブロモ山登山は体力は必要ないですね。でも、そこまで行くのが大変かも。
富士山も世界遺産になったら、そんな要望が強まりそうですね。富士山の女神、コノハナサクヤヒメが怒って噴火しなければよいのですが(^^;)
by staka (2013-05-19 21:50)