海辺のバーベキュー そのあとで [地球環境・環境倫理]
うだるような暑さの続く毎日、夏休みに入ったこんな時には山や海に出かける人も多いだろう。居宅近くの海岸にも連日多くの人が押しかけ、お蔭で今年の海の家はホクホク顔だろう。
海岸でのバーベキュー テント持込も多い
最近は、海の家は利用しないで、仲間や家族でバーベキューを楽しむ人たちも多い。ギターやボンゴなどの楽器で盛り上がっているグループもある。日除けにテントを持ち込んでいるグループもある。そもそもバーベキューの道具も、登山の飯盒炊さんキャンプの頃と比べれば、ずいぶん改良され、大型になってきた。
これも車で運搬できるからだろう。大量に食材も搬入できる分、バーベキューを楽しんだあとには大量の食べ残しやごみが出る。最近はマナーもよくなって、ゴミをそのまま放置するグループは少ない。ビニール袋に入れて片付ける。
しかし、持ち帰るのは自分の車や自宅までではない。近くのゴミ箱までだ。かなり大型のゴミ箱だが、それでも入りきれないゴミは周囲に積み上げられている。
ゴミ持ち帰りを訴える市の看板 ゴミ箱に入りきらずに積み上げられたゴミ
そのゴミは誰が片づけるのだろうか。ゴミ箱が設置されているのだから、当然誰かが片づけてくれるに違いない。そう、地元の自治体が住民の税金で処理しているのだ。
各地の観光地では、観光客が出した大量ゴミを住民の税金で処理しなければならず、財政を圧迫している。地元も観光収入で潤うのだから、それくらいの負担は当然と考えることもできるが、観光との関わり(観光従事者数、観光収入などの地元に占める割合)の小さい地域では大変だ。
バブルの時代には、風光明媚な高原地域や海岸地域にリゾートマンションが続々と建設された。マンション所有者は、週末に利用するだけだから住民登録せずに住民税も払わない。そんな外来者のために、ゴミ処理や上下水道の費用を住民が負担しなければならず、地元では悲鳴をあげたことがあった。神奈川県真鶴町などでは、景観保全と費用負担の軽減のため、「まちづくり条例」などでリゾートマンション建設を制限しようとしたこともある。
国立公園でも、ゴミ問題は長年の課題だ。その典型が、このブログでも紹介した尾瀬や富士山などだ。(写真は、尾瀬のゴミ持ち帰り運動)
山野に散らかるゴミのためにゴミ箱を増やしても、かえってその周辺にゴミが散乱したり、山奥のゴミ箱に溜まったゴミを麓に降ろすだけでも大変だ。そこで尾瀬などでは、ゴミ箱を撤去して、できれば家まで、少なくとも麓まで持ち帰ってもらう「ゴミ持ち帰り運動」が提唱されてきた。
利用者は、ゴミをゴミ箱に捨てれば、それでおしまい。むしろ良いことをしたと満足する人もいるかもしれない。しかし、ゴミ箱に捨てられて、それで終わりではない。ゴミの回収や処分までも考えてほしい。
このことは、国立公園や観光地のゴミだけではない。私たちの日常生活で生じるゴミや不用品も同様だ。かつて企業は作って売るだけで、ゴミとなった不用品の回収・処分は自治体任せ、結局は公共の税金を投入していたのだ。
これが2000年代から、ビン・カンやペットボトルを対象とした「容器包装リサイクル法」や冷蔵庫、テレビなどの「家電リサイクル法」、さらには「自家用車リサイクル法」などが次々と施行され、製造から廃棄、処理まで企業は一貫して責任を持つ方針に変更された。企業の製造者責任であるとともに、私たち利用者・受益者負担でもある。
安い電気として推進されてきた原子力発電も、核燃料の処分や発電所自体の廃炉などの費用を考えると、決して安い電気とは言えないだろう。ゴミ処理に目をつむり、企業負担ではなく、税金をあてにするのでは、かつての家電などと同じだ。
最終的な廃棄物処理費用まで算定すると、決して安いものになならないと思う。それが結局は、利用者負担として跳ね返ってくるのだ。初めからわかっていたことではあるが。
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こんばんは^^
ゴミ問題は憂鬱ですね。うちの方の家庭ごみも来年から有料化されます。そうするとほかの所にごみが溢れてくるのではないかと・・・
現在でも大型ごみは有料ですが、平気でゴミステーションに捨てて、引越ししていく人が居ます。
結局世界遺産や国立公園等のゴミ問題も、日本人のモラルの問題なんでしょうね。
by mimimomo (2013-08-18 21:18)
mimimomoさん、日常生活でやむを得ないゴミの問題も複雑ですね。
世界遺産や国立公園のゴミは、モラルである程度解決しそうですけれど、やはり社会システム、経済システムの問題としても取り組まなくてはならないでしょうね。
by staka (2013-08-18 23:08)