SSブログ

第6回世界国立公園会議 inシドニー [保護地域 -国立公園・世界遺産]

 南半球のオーストラリアは、今が初夏。ジャカランダの紫色の花が日本の桜のように各所で満開の11月12日~19日に、シドニー・オリンピックパークで「第6回世界国立公園会議」が開催され、これに参加して先日帰国しました。

s-DSC07062.jpg
初夏のオーストラリアでは、ジャカランダの花が満開
宿泊したパラマッタの町の公立小学校前で



 会議の参加者は、170か国から6000人以上と大規模なものだった。これだけの参加者を収容するため、2000年のシドニー・オリンピック会場であるオリンピックパークの施設が会場となったのだ。

 ところで、世界国立公園会議とは、世界の国立公園関係者が一堂に会する10 年に一度の会議で、自然保護の国際会議では最大のものである。国際自然保護連合(IUCN)と開催国の主催によって、1962 年の米国シアトルでの第1 回会議以来、72 年に米国イエローストーン国立公園で第2 回が、82 年にインドネシアのバリ島で第3 回が、92 年にベネズエラのカラカスで第4 回が、2003 年には南アフリカのダーバンで第5 回がそれぞれ開催され、今回14 年にはオーストラリアのシドニーで第6 回が開催されたというものだ。

 私は、第3回会議から今回の会議まで毎回出席してきたが、考えてみるとこの間30年間にわたるもので、日本人としては最多の参加の記録となる。

 初期のころは、国立公園管理と観光開発、野生生物保護などが話題の中心だったが、回を重ねるごとに、先住民・地域社会と保護地域の関係や伝統的知識の尊重、気候変動、外来生物、さらには食料、貿易、貧困なども含む持続可能な開発や生活と保護地域など、テーマも多彩に、かつ広範になってきた。参加者数と会議の規模、さらには日本人参加者数も、毎回大きく(多く)なり、30年前とは雲泥の差だ。

 今回も、8つの大きなテーマ(ストリーム)とそれに関連する実の多くの分科会などが同時並行に開催された。それらの会場にはエキシビションのホールやドーム、さらにはメインスタジアムの中の会議室などが当てられた。これらの会場を移動するにも、初夏の炎天下を行ったり来たり、おまけにペーパーレスでプログラムも紙媒体はなくてスマホでダウンロードするので、どこで何をやっているか、会議室がどこか、把握するのが大変だった。

 なお、私は今回の会議では、「アジア保護地域パートナーシップ」の立ち上げの会議において、昨年11月に仙台で開催された「第1回アジア国立公園会議」の第5ワーキンググループ(テーマは、保護地域に関する国際連携)の議長として、結果概要を報告した。
 このワーキンググループでの議論などが、今回のアジア保護地域パートナーシップの発足にも貢献したものと考えている。

 会議の詳細は別の機会として、今回は写真でその雰囲気をお伝えしよう。



s-DSC07127.jpg
オリンピックパークの会議登録受付

s-DSC07140.jpg
オリンピック・スタジアムも会議場に

s-DSC07113.jpg
6000名もの参加者を収容したオリンピック体育館

s-DSC07123.jpg
開会式では、オーストラリア環境大臣のほか、各国首脳なども挨拶
前回会議で挨拶した故マンデラ南アフリカ元大統領の息子さんも挨拶

s-DSC07131.jpg
チンパンジー研究で有名なジェーン・グドールさんも
ビデオメッセージ(開会式と閉会式で)

s-DSC07128.jpg
巨大なエキジビションホールでは、各団体の展示ブースが

s-DSC07136.jpg
分科会も、巨大な体育館を仕切って会場に

s-DSC07293.jpg
オーストラリアの先住民アボリジニの報告
自然保護地域から、先祖は追放されたそうだ
(現在のオーストラリアでは、土地を返還して保護地域として管理してもらう
先住民・地域社会保護地域(ICCA)が各地で設定されている)


s-DSC07280.jpg
タヒチ、ハワイなど南太平洋や南米、アジアの先住民の人々も参加


s-DSC07289.jpg
閉会式では、会議成果をまとめた「シドニーの約束」をIUCN会長に手渡し


s-DSC07297.jpg
帰国のころには、町ではクリスマスの飾りつけが
半袖の夏の様子とは違和感?



【本ブログ内の関連記事リンク】


 「『生物多様性と保護地域の国際関係 対立から共生へ』出版2 ―第Ⅱ部 国立公園・自然保護地域をめぐる国際関係
 「愛知ターゲットと保護地域 -保護地域の拡大になぜ対立するのか
 「アバター  先住民社会と保護地域
 「宮崎アニメ「もののけ姫」 人と自然

 このほかにも、カテゴリー「保護地域 -国立公園・世界遺産」に関連記事多数。


【著書のご案内】

生物多様性カバー (表).JPG 世界は自然保護でなぜ対立するのか。スパイスの大航海時代から遺伝子組換えの現代までを見据えて、生物多様性や保護地域と私たちの生活をわかりやすく解説。

 国立公園や世界遺産などの保護地域の拡大目標(愛知目標)で世界はなぜ対立するのか、世界国立公園会議の変遷を含めた世界やインドネシアの保護地域ガバナンスのパラダイムシフトなども。

 本ブログ記事も多数掲載。豊富な写真は、すべて筆者の撮影。

 高橋進 著 『生物多様性と保護地域の国際関係 対立から共生へ』 明石書店刊 


 目次、概要などは、下記の本ブログ記事をご参照ください。

 「『生物多様性と保護地域の国際関係 対立から共生へ』出版2 ―第Ⅱ部 国立公園・自然保護地域をめぐる国際関係

 「インドネシアの生物多様性と開発援助 -『生物多様性と保護地域の国際関係 対立から共生へ』出版3


nice!(31)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 31

コメント 8

トックリヤシ

ずいぶん大規模な会議なんですね~、お疲れ様でした。

by トックリヤシ (2014-11-24 14:16) 

staka

トックリヤシさん、ありがとうございます。
日本ではあまり知られていませんが、自然保護関係の国際会議では世界最大級でしたね。
by staka (2014-11-24 17:15) 

palette

ジャカランダの花、初めて見ます。
光の加減で、桜の花の写真の色が変わっちゃったのかと
思ってしまいました。紫色なんですね。
大きな国際会議、お疲れ様でした!
by palette (2014-11-25 09:40) 

staka

paletteさん、ありがとうございます。
ホテルの窓からも、あちこちに紫色の花が見えました。
並木になっているところなど、夢中で写真を撮ってしまいました。
何でも、南米原産だとか。そのうち、日本でも公園などで普通に見るようになるのでしょうか?
by staka (2014-11-25 11:11) 

旅爺さん

遠方でのお仕事お疲れ様でした。
爺もオーストラリアには行きましたがジャカランダがあるのは知りませんでした。見たかったです。
by 旅爺さん (2014-11-27 18:03) 

staka

旅爺さん、ありがとうございます。
前のブログでご紹介したブータンでもジャカランダを見ました(ブータンで出会った花)。
結構世界中で植えられていて、日本にもあるようです(まだ見たことありませんが)。
でも、こんなに見事でたくさんあるのは初めてでした。
by staka (2014-11-30 00:11) 

mimimomo

おはようございます^^
巨大会議ですね^^
シドニーにはちょっと立ち寄ったことがあったかな。
今オーストラリアにアボリジニっていらっしゃいませんよね。混血はいらっしゃいますが。
by mimimomo (2014-12-04 09:54) 

staka

mimimomoさん
アボリジニの人たちについて、詳しくは知りませんが、まだまだ根深い差別などがあるようですね。
by staka (2014-12-04 12:17) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0