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巨木フォーラムin伊豆  そして、全国巨樹・巨木林の会設立20周年式典 [巨樹・巨木]

本年(2015年)10月31日に第28回「巨木を語ろう全国フォーラム」(巨木フォーラム)が、香川県の小豆島で開催された。

その報告の前に、「第26回巨木フォーラム静岡in伊豆」を報告しなければならない。

河津七滝 天城の滝巡り - 天城越えの旅(1)」でのお約束だから。(前回の第27回巨木フォーラムは、アップ済み「巨木フォーラム 群馬・高崎・倉渕」)

巨木フォーラムin伊豆は、2013年11月16日に、静岡県伊豆市の天城会館で開催された。


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この年は、全国巨樹・巨木林の会が設立されて20周年を迎えたこともあり、フォーラムに先立つ午前中の総会では、「設立20周年記念式典」が開催された。

会への功労者の表彰などの後、「設立20周年記念宣言」を採択して終了した。

午後のフォーラムでは、基調講演、活動報告、大会宣言採択などがあった。


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伊豆市の小中高校生による報告

最後に、本フォーラム開催地の菊池伊豆市長から次回開催地の群馬県高崎市倉渕巨樹の会市川会長へ、大会旗が引継がれた。

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翌日は、全国からの参加者も楽しみにしているエクスカーションが実施された。
巨樹の多い伊豆半島を4つのコースで巡るものだ。

私が参加したコースでの最初の巨樹との出会いは、「お宮の椎の木」だ。
市指定天然記念物で樹齢800年ともいわれるシイノキは、天城湯ヶ島町天城神社の拝殿参道脇に下膨れのいかにも巨樹といった姿で鎮座していた。

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天城神社のシイノキ(通称 お宮の椎の木)


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天城神社拝殿

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独特の雰囲気の「はじめ狛犬」


天城山地一帯は、かつては徳川幕府直轄地の天領、その後は皇室の御料林として、森林は保護され、特に有用材でもある杉、松、ヒノキ、ケヤキ、クス、サワラ、カシは、「天城七木制」(のちにモミ、ツガをくわえて天城九木)により禁伐となり、厳重に保護されてきた。

地元住民は、天領(御料)でのスギを伐採した跡地には、伐採させてもらったお礼にスギの苗を植えて、「お礼杉」として保護したという。

さらに、山仕事で入山する人々は、安全などを「山の神」に祈願した。今もその祠が残る。


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道の駅「天城越え」にある「昭和の森会館」には、これらに関連した展示解説などもある。

昭和の森会館を出発点としてしばらく滑沢渓谷沿いの林道を散策すると、こうして保護されてきた代表的なスギで山中にひときわ高くそそり立つ、樹齢500年ともいわれる「太郎杉」(県指定天然記念物)に到達する。


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滑沢川の一枚岩・竜姿の滝(ジオサイト)

かつては同様のスギも多かったが、戦時中の供出による伐採で、かつての天領の面影を残す貴重な巨樹となった。

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道の駅「天城越え」の近くには、「茅野のエドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)」もある。
伊豆地方最大級のエドヒガンザクラだが、花のシーズンではないのが残念だ。


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浄蓮の滝(ジオサイト)(写真上)と旭滝(ジオサイト)(写真下)にも立ち寄り。

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エクスカーション最後の巨樹は、市指定天然記念物「学舎(まなびや)の大ケヤキ」。

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明治33年(1900年)に下大見尋常高等小学校(のちの白岩小学校、昭和47年に統合移転)が建設された頃は、敷地の隅の土手にあったケヤキだが、学校敷地の拡張に伴い校庭内に組み込まれるようになったという。

邪魔になったケヤキは、何度も伐採されそうになったが、ケヤキに登り、ケヤキの下で写生などをして育った多くの卒業生や地域の人々によって守られてきたそうだ。

現在でも、樹齢150年といわれる大ケヤキは、橘保育園の園庭で多くの子どもたちを見守り続けている。

第24回巨木フォーラムの際に訪れた瑞竜小学校(茨城県常陸太田市)の校庭中央を占拠するサクラ「瑞桜」の物語と重なる(「どこんじょう 震災にめげずに巨木フォーラム開催」参照)。

巨樹のあるところには、人と巨樹のそれぞれのドラマがある。
そして、どんな巨樹にも、稚樹と言われた時代があったのだ。

どんな偉人も同じだけれどもね。


【本ブログ内関連記事】

河津七滝 天城の滝巡り - 天城越えの旅(1)

開祖弘法大師と源氏の盛衰 修善寺温泉から三嶋大社 - 天城越えの旅(2)

パワースポット 来宮神社の大クス

巨木フォーラム:

四半世紀を迎えた巨木フォーラム

第27回「巨木フォーラム 群馬・高崎・倉渕

第25回「縄文の巨樹に思いを馳せて -第25回巨木フォーラムと三内丸山遺跡

第24回「どこんじょう 震災にめげずに巨木フォーラム開催

第23回「巨木フォーラム in つるぎ町 -巨樹王国を支える人々の熱き想い

第22回「日本一の巨樹の町で全国巨樹・巨木林の会会長に就任




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コメント 5

讃岐人

学校や神社の境内にある木は、地域の人たちの記憶と共にある大切な木ですね。
少し前に何者かの手により枯らされ、なぜか示し合わせたように伐採業者が買い取りに来るという事案が方々で生起しました。もし全て仕組まれたことなら、とんでもないことですね。
by 讃岐人 (2015-11-22 18:06) 

staka

讃岐人さん
巻き枯らしというやつですね。
意識的に巨木を枯らして、買い取るものです。
日本では、巨木は神社くらいにしかありませんからね。

今度のブログは、讃岐が登場しますよ。お楽しみに〜
by staka (2015-11-22 18:37) 

mimimomo

おはようございます^^
日本は地方に行けば大きな木が結構ありますね。
それだけ地域の人たちが土地に密着して土地を愛してきたからでしょうか。
旅行をしていると、そんな木々に出会え、ちょっと嬉しくなるのですよね^^
stakaさんのブログで見るまではあまり意識していなかったのですが(--ゞ
by mimimomo (2015-11-23 06:53) 

staka

mimimomoさん
ありがとうございます。
巨木、そして人と自然の関係に、ブログを通じて多くの方が関心を持ってもらえるようになれば、ありがたいです。
by staka (2015-11-23 10:29) 

讃岐人

次回は讃岐ですか。
楽しみにしております。
by 讃岐人 (2015-11-23 19:19) 

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