埴輪 古代へのロマン [ちょっとこだわる:民俗・文化・紀行・時事など]
最近、古墳時代の埴輪を続けて2カ所で見る機会があった。
初めは、国立博物館(東京上野)の「日本の考古・特別展」。
「古代ギリシア展」を観た際に、たまたま特別展に立ち寄った。
平成館の特別展会場入口では、国宝に指定されている「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」の埴輪が出迎える。
埴輪で唯一の国宝とか。出土は群馬県太田市。
大陸伝来の最新の甲冑と剣を身に着けた武人の姿を現している。
身に着けているのは大陸伝来のものだが、その姿は弥生時代以来の日本の伝統的な武装だそうだ。
後で紹介するように、大和朝廷が勢力を張った畿内(関西地方)に対して、古墳時代の関東地方にはそれと匹敵するほどの豪族の勢力があったようだ。
その古墳の一つ、「稲荷山古墳」(埼玉県行田市)は、金錯銘を有する鉄剣が出土したことでも有名だ。
仁徳天皇陵として知られている大仙陵古墳(大阪府堺市)とそっくりの前方後円墳の形状で、仁徳天皇陵のほぼ4分の1の大きさという。
周囲には、このほか丸墓山古墳(↓写真)、二子山古墳、将軍山古墳など多くの古墳が隣接していて、「さきたま古墳公園」として整備されている。
国立博物館の埴輪に戻るが、国宝のほかにも、重要文化財の「腰かける巫女」も展示されている。群馬県大泉町出土だ。
これ(↓)は、「琴をひく男子」。茨城県桜川市出土という。
おさげ髪の女性かと思ったが、男性だそうだ。しかし、顔つきは優しい?
こちらは正真正銘(?)の「女子」と名付けられた埴輪(群馬県高崎市出土)。
彩色の跡も見え、服の模様やネックレスまではっきりとしている。
なにやら盃のようなものを差し出しているところを見ると、巫女さんみたいな気もするけど・・・
「盛装の男子」は、栃木県壬生町出土で、名付けられたとおり、立派な服装だ。
もう1カ所の埴輪見学は、群馬の森の群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市)。
こちらは、近くに所要があったのでついでに立ち寄ったところ、たまたまその日がリニューアルオープンの日で、入館料は無料。といっても、普段でも入館料は200円と安いけど。
館内は、原始時代から古代、中世、近世、それに近現代と、それぞれの時代の群馬県の姿が展示されている。
それとは別に、「東国古墳文化展示室」があり、そこに埴輪が展示されていた。
ここでも、国立博物館と同様に、高さ123cmの大型の「高塚古墳の武人埴輪」(群馬県桃井村出土)が出迎える。
甲冑の形状は少々異なるが、その雰囲気はそっくりだ。
前方後円墳の保渡田八幡塚古墳(高崎市)から出土した埴輪は、皆が盾を持っている。
外界から古墳を守る異様な形相をした魔除けの役割を果たしていたという。
富岡市の円墳から出土の埴輪は、人物だけではなく、何やら抽象的な形象埴輪だ。
下(↓)の左の馬形埴輪は、群馬県で最大級の大きさの埴輪だ。
伊勢崎市の蛇塚古墳からの出土で、馬具が忠実に表現されている。
右は鷹匠埴輪で、太田市のオクマン山古墳出土。
正装した身分の高い人物で、左腕(向かって右)に鷹を止まらせて、鷹狩の様子を示しているらしい。
ところで、この県立歴史博物館の最後の展示室、近現代には、「スバル360」の実物が展示されている。
私たちの年代ならば記憶にある「てんとう虫」の愛称で親しまれた量産型の軽自動車だ。
戦時中に軍用機を生産していた中島飛行機の技術を受け継いで生産された自動車で、1958年(昭和33年)に登場した。
この中島飛行機太田製作所(群馬県太田市)が、後に富士重工業となりスバル360が生産されたので、博物館に展示されているというわけだ。
その名のとおり、360㏄という、今ではオートバイにも負けそうな排気量だが、それでも4人乗り。
販売第1号車の購入者は、かの有名な松下幸之助だったという。
昭和33年といえば、東京タワーが建設された年。映画「三丁目の夕日」にも、東京タワーとともに、三輪自動車ミゼットやスバル360も登場していたような気がする。
このスバル360は、日本機械学会によって今年度の「機械遺産」に選定された。
いつの日にか未来人からは、現代の埴輪同様に、古代の遺物として珍しがられる日が来るのだろうか。
それとも、未来人となるまで人類は存続できない?
戦争テロ、環境汚染、食品汚染・・・・
先週の土・日の学会出席に続き、慣れない畑仕事や収穫物の配送で、ギックリ腰状態になってしまいました。トホホ・・・
PCに向かっていると腰を伸ばして立ち上がれなくなるので、ブログの更新もできず、niceのお返しもできませんでした。失礼!
せっかくの「山の日」も含めて数日間横になっていましたが、何とかPCに向かえるようになり、やっとブログの更新ができました。万歳!!
【本ブログ内関連記事】
「中国文明と縄文文化 - 兵馬俑展と三内丸山、登呂遺跡」
(山の日に寄せて)
「山の日制定」
「形から入る -山ガールから考える多様性」
初めは、国立博物館(東京上野)の「日本の考古・特別展」。
「古代ギリシア展」を観た際に、たまたま特別展に立ち寄った。
平成館の特別展会場入口では、国宝に指定されている「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」の埴輪が出迎える。
埴輪で唯一の国宝とか。出土は群馬県太田市。
大陸伝来の最新の甲冑と剣を身に着けた武人の姿を現している。
身に着けているのは大陸伝来のものだが、その姿は弥生時代以来の日本の伝統的な武装だそうだ。
後で紹介するように、大和朝廷が勢力を張った畿内(関西地方)に対して、古墳時代の関東地方にはそれと匹敵するほどの豪族の勢力があったようだ。
その古墳の一つ、「稲荷山古墳」(埼玉県行田市)は、金錯銘を有する鉄剣が出土したことでも有名だ。
仁徳天皇陵として知られている大仙陵古墳(大阪府堺市)とそっくりの前方後円墳の形状で、仁徳天皇陵のほぼ4分の1の大きさという。
周囲には、このほか丸墓山古墳(↓写真)、二子山古墳、将軍山古墳など多くの古墳が隣接していて、「さきたま古墳公園」として整備されている。
国立博物館の埴輪に戻るが、国宝のほかにも、重要文化財の「腰かける巫女」も展示されている。群馬県大泉町出土だ。
これ(↓)は、「琴をひく男子」。茨城県桜川市出土という。
おさげ髪の女性かと思ったが、男性だそうだ。しかし、顔つきは優しい?
こちらは正真正銘(?)の「女子」と名付けられた埴輪(群馬県高崎市出土)。
彩色の跡も見え、服の模様やネックレスまではっきりとしている。
なにやら盃のようなものを差し出しているところを見ると、巫女さんみたいな気もするけど・・・
「盛装の男子」は、栃木県壬生町出土で、名付けられたとおり、立派な服装だ。
もう1カ所の埴輪見学は、群馬の森の群馬県立歴史博物館(群馬県高崎市)。
こちらは、近くに所要があったのでついでに立ち寄ったところ、たまたまその日がリニューアルオープンの日で、入館料は無料。といっても、普段でも入館料は200円と安いけど。
館内は、原始時代から古代、中世、近世、それに近現代と、それぞれの時代の群馬県の姿が展示されている。
それとは別に、「東国古墳文化展示室」があり、そこに埴輪が展示されていた。
ここでも、国立博物館と同様に、高さ123cmの大型の「高塚古墳の武人埴輪」(群馬県桃井村出土)が出迎える。
甲冑の形状は少々異なるが、その雰囲気はそっくりだ。
前方後円墳の保渡田八幡塚古墳(高崎市)から出土した埴輪は、皆が盾を持っている。
外界から古墳を守る異様な形相をした魔除けの役割を果たしていたという。
富岡市の円墳から出土の埴輪は、人物だけではなく、何やら抽象的な形象埴輪だ。
下(↓)の左の馬形埴輪は、群馬県で最大級の大きさの埴輪だ。
伊勢崎市の蛇塚古墳からの出土で、馬具が忠実に表現されている。
右は鷹匠埴輪で、太田市のオクマン山古墳出土。
正装した身分の高い人物で、左腕(向かって右)に鷹を止まらせて、鷹狩の様子を示しているらしい。
ところで、この県立歴史博物館の最後の展示室、近現代には、「スバル360」の実物が展示されている。
私たちの年代ならば記憶にある「てんとう虫」の愛称で親しまれた量産型の軽自動車だ。
戦時中に軍用機を生産していた中島飛行機の技術を受け継いで生産された自動車で、1958年(昭和33年)に登場した。
この中島飛行機太田製作所(群馬県太田市)が、後に富士重工業となりスバル360が生産されたので、博物館に展示されているというわけだ。
その名のとおり、360㏄という、今ではオートバイにも負けそうな排気量だが、それでも4人乗り。
販売第1号車の購入者は、かの有名な松下幸之助だったという。
昭和33年といえば、東京タワーが建設された年。映画「三丁目の夕日」にも、東京タワーとともに、三輪自動車ミゼットやスバル360も登場していたような気がする。
このスバル360は、日本機械学会によって今年度の「機械遺産」に選定された。
いつの日にか未来人からは、現代の埴輪同様に、古代の遺物として珍しがられる日が来るのだろうか。
それとも、未来人となるまで人類は存続できない?
戦争テロ、環境汚染、食品汚染・・・・
先週の土・日の学会出席に続き、慣れない畑仕事や収穫物の配送で、ギックリ腰状態になってしまいました。トホホ・・・
PCに向かっていると腰を伸ばして立ち上がれなくなるので、ブログの更新もできず、niceのお返しもできませんでした。失礼!
せっかくの「山の日」も含めて数日間横になっていましたが、何とかPCに向かえるようになり、やっとブログの更新ができました。万歳!!
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(山の日に寄せて)
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腰は体の要、どうかお大事に・・・^^;
by トックリヤシ (2016-08-14 08:45)
トックリヤシさん
ありがとうございます。
普段の不摂生が現れてしまいましたね。
by staka (2016-08-14 09:30)
腰を痛めるとつらいですね。お大事になさってください。
by めもてる (2016-08-14 11:02)
めもてるさん
ありがとうございます。
ホント、何もする気が起きなくなりますね。
普段から背筋などを鍛えておかなければいけないと、つくづく思いました。
by staka (2016-08-14 11:59)
栃木、群馬、茨城の辺りに埴輪があるということは、文明があったのですね。
スバル360は、白い車でしたね。あの時代は車は色を選ぶよりも、車であるという機能が大切だったんですね。
腰、少し回復でよかったですね。暑い折、ムリをせずお大切に。
by TaekoLovesParis (2016-08-14 13:07)
TaekoLovesParisさん
お気遣いいただきありがとうございます。
歴史では、文明文化は京都が中心としか習いませんでしたが、関東も捨ててはおけませんよね。
スバルの昭和時代、平成天皇が退位されたらますます遠のきますね。
by staka (2016-08-14 14:08)
高崎、映画館と埴輪とセットで行く贅沢もありか・・・。
by 森田惠子 (2016-08-14 17:14)
森田惠子さん
高崎は映画のお仕事ですか。
群馬の森には、美術館もありますよ。
腰を鍛えるために、ヨーガに取り組もうかな。
by staka (2016-08-14 18:48)
こんばんは。
ギックリ腰は辛いですね。お大事に !!
by yakko (2016-08-14 19:07)
yakkoさん
ありがとうございます。
だいぶ良くなったと思いましたが、油断するといけませんね。
しばらくは養生します。
by staka (2016-08-14 23:20)
stakaさん>高崎には「シネマテークたかさき」という頑張っている映画館があるのです!
ぎっくり腰が落ち着いてきたら、立膝になって両膝を付けた状態で左右の床にゆっくり倒し、暫くキープする、腰をねじる体操をお勧めします。
ぎっくり腰の予防になります。
by 森田惠子 (2016-08-15 20:20)
森田惠子さん
ヨーガでしょうか。ありがとうございます。早速試してみますね、無理しないように。
高崎にはよく出かけるので、腰が良くなったら映画館にも立ち寄ってみようかな。
by staka (2016-08-15 23:19)
こんにちは^^
今までわたくしがあちこちで見た埴輪はあまり美しくなかったですが、ここに写されているのは何だかとても綺麗ですね。昔からよくこれだけ保てたこと!
ぎっくり腰は癖になるそうですから、気をつけられますように。
お大事に。
by mimimomo (2016-08-18 15:23)
mimimomoさん
ご心配いただき、ありがとうございます。
近年の遺跡や古文書の発掘などで、縄文も含め、昔に学校で習った歴史や各時代のイメージはずいぶん変わってきましたね〜
by staka (2016-08-18 23:51)