スーパー国立公園?発表 ― 国立公園のブランド化による外国人観光客誘致(1) [保護地域 -国立公園・世界遺産]
腰痛に関しては、多くの方々から暖かい励ましのお言葉をいただき、ありがとうございました。
結局、制定後初めての「山の日」にも横になっていました(「埴輪 古代へのロマン」)。
ところで、今年初めて登場した「山の日」の8月11日。長野県松本市では記念式典が開催され、皇太子殿下ご夫妻と愛子内親王が参列されたという。親子での初の公式行事参加だそうだ。
皇太子といえば、私が学生時代に浅間山を登山をした際、下山途中で当時の皇太子(今上天皇)ご夫妻とそのお子様の浩宮(現皇太子)が登って来てすれ違った記憶がある。
軽井沢にご静養中のご一家の小浅間山登山の途中だったようだ。
鮮明な記憶ではないが、別に厳重な警護が付いていたわけでもなく、すれ違って初めて皇太子ご夫妻とお子様だと気が付いた次第だ。
それ以来(かどうかは知らないけれど)、現皇太子は山好きのようで、全国の山を踏破しているそうだ。
その「山の日」が8月11日として制定されたのは、2014年5月の国会で「祝日法」が改正されたことによる。
本来であれば昨年(2015年)から「山の日」が設けられてもよいのだが、次年(2015年)用カレンダーが印刷済みで修正が間に合わないことから、今年(2016年)が初の「山の日」となったようだ。
山の関係者(登山家、観光業者、環境保全運動家などなど)にとっては、「海の日」があるのに「山の日」がないのは不公平であり、山の日制定は悲願(ちょっと大げさ?)だった。それに、経済的、環境意識向上などの効果も見込める。
「山の日」が8月11日に落ち着いたのも、国民の祝日がない6月か8月のうち、労働時間や授業時間に影響の少ない夏休み期間中に落ち着いたという次第だ。
さらに、11日となった詳細などは、本ブログの記事「山の日制定」で記したとおりだ。
ところで、この「山の日」を前にした去る7月25日、環境省から特別に「選定した8国立公園」の発表があった。
選定した国立公園(国立公園名と選定のポイント)
(環境省2016年7月25日報道発表資料より)
阿蘇くじゅう国立公園: 災害復興、カルデラと千年の草原
阿寒国立公園: 観光立国ショーケース、エコツーリズム全体構想
十和田八幡平国立公園:震災復興、温泉文化
日光国立公園:欧米人来訪の実績
伊勢志摩国立公園:伝統文化、エコツーリズム全体構想
大山隠岐国立公園:オーバーユースに対する先進的取組
霧島錦江湾国立公園:多様な火山と「環霧島」の自治体連携
慶良間諸島国立公園:地元ダイビング事業者によるサンゴ保全の取組、エコツーリズム全体構想
全国にある32カ所の国立公園のうちから、訪日外国人旅行者を積極的に受け入れる公園を選定しようというものだ。
政府が経済対策のために外貨獲得を狙った「観光立国」政策を初めてずいぶん長くなった感がある。
この間の、訪日中国人の爆買いなどに象徴される外国人観光客数(インバウンド)の増加と経済的効果には目覚ましいものがある。
2012年に800万人強だった訪日外国人旅行者数は、2015年にはおよそ2000万人と倍増した。
政府は、これを東京オリンピックが開催される2020年にはさらに倍増の4000万人にする目標値を設定した(「明日の日本を支える観光ビジョン」2016年3月)。ちなみに、2030年には6000万人が目標だ。
この目標の実現のためには、国立公園も重要な観光資源となる。
そのため、32国立公園の中から、先行的・集中的に取り組む公園として上記の8公園を選定したものだ。
当初は5カ所の予定だったが、地方自治体などからの陳情も相次ぎ、地域バランスなども考慮して8カ所となったようだ。
環境省では、この8公園を世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化を図ることとして、「国立公園満喫プロジェクト」と名付けて実施する。
「ナショナルパーク」を「世界遺産」などと同じような新たなブランドにして、外国人観光客を呼び込もうというわけだ。
でも、日本語では従来の「国立公園」と「ナショナルパーク」の違いはあっても、英語ではどちらも "National Park"。
国内でのブランド化だけでは、外国人にその違いは伝わらないのでは?
「スーパー国立公園」(Super National Park)とでもすればよいかもしれない?
ただしこの用語、海外でも一部の観光業者が使用しているだけで、広く馴染まれているわけではないので、使用には注意が必要だ。
いずれにしろ、この8公園だけではなく、全国の国立公園での訪日外国人旅行者数を2020年までに1000万人にするのを目標としている。
つまり、全訪日外国人旅行者数の4分の1を国立公園で受け入れようというものだ。
私は、8公園のうち「阿寒国立公園」と「十和田八幡平国立公園」の2公園に連続して、それぞれ約3年間住んでいたことがある。
背景の山は雌阿寒岳
(最近は訪問していないので、昔の写真で失礼!)
短期間の観光客では味わえない世界的な国立公園(になることを希望?)の素晴らしさを体験できたのは、仕事とはいえ幸運の一語に尽きる!!
当時は、ブログもなくて、その素晴らしさを多くの皆さんに発信できなくて残念だったけど。
次回では、国立公園と外国人観光客、ナショナルパークと国立公園の違いなどについて解説する。
【本ブログ内関連記事リンク】
「山の日制定」
「形から入る -山ガールから考える多様性」
「世界的大カルデラの魅力と草原の危機 -国立公園 人と自然(15) 阿蘇くじゅう国立公園」
「われ幻の魚を見たり 和井内貞行と十和田湖 -国立公園とヒメマスの物語(1)」
「酒と旅を愛した文豪 大町桂月のみた十和田とヒメマス -国立公園とヒメマスの物語(2)」
「桂月の奥入瀬、幻の魚見たりの十和田湖、そして賢治の岩手山 -国立公園 人と自然(1) 十和田八幡平国立公園」
「温泉と避暑リゾート、世界遺産 -国立公園 人と自然(20)日光国立公園」
「新年にふさわしい国立公園、旅の原型お伊勢参りと新婚メッカの真珠の里 -国立公園 人と自然(8) 伊勢志摩国立公園」
「神話と龍馬の霧島、縄文杉の屋久島 -国立公園 人と自然(7) 霧島屋久国立」
おはようございます^^
何故観光客誘致に懸命になるのでしょうか? しかも数を優先して。今一つ分からないわたくしです。
長期滞在型の裕福な人(数は少ない)そういう人の受け入れにもっと積極的になって貰えたら良いなーっと思うのですが・・・最近は日本中(ちょっと大袈裟?)どこに行っても〇国語が聞こえてきて五月蠅い。
何だか日本国内旅行が消極的になります。
by mimimomo (2016-08-21 06:46)
おはようございます。
世界遺産に登録された富士山では、以前にもまして外国人観光客、それも団体が増加しているとのこと。
今回の国立公園も、そうなると経済的には良いのでしょうが、一般観光地(街中のイメージ)と変わらなくなってしまいそうですね。
でも、国内の国立公園にも、まだまだゆったりと、のんびりとできる場所もたくさんありますよ。宿泊料金なども含め、長期滞在受け入れも目指していかなければなりませんね。
利用者の方でも意識とライフスタイルの改革が必要ですね。
by staka (2016-08-21 10:05)
8国立公園、やはり写真を見ると選ばれるのも納得の美しさですね。私は4か所しか行ってないので、行かないとって思いました。皇太子さまと山ですれ違うなんて、良い思い出ですね。
by TaekoLovesParis (2016-08-21 10:56)
TaekoLovesParisさん
いえいえ、8公園のほかにも、美しい風景の公園はたくさんありますよ。
是非お出かけください。
by staka (2016-08-21 11:35)