朝鮮半島DMZ、北方四島、そして南極 -国際平和公園(2) [保護地域 -国立公園・世界遺産]
ご訪問ありがとうございます。
定期的な更新もできず、皆様のブログへの訪問も数回分をまとめてということになってしまいますが、ご容赦ください。
今回は、先週の続き、世界平和のための「国際平和公園」です。
このところの北朝鮮の挑発でキナ臭くなった朝鮮半島だが、1953 年に設定された朝鮮半島非武装地帯(DMZ)は、半世紀以上を経た今日では野生生物の聖地となっている。
DMZを平和のための「国際平和公園」として存続させることは、夢物語なのだろうか。
平和条約の締結もままならない日本とロシア両国の関係だけれども、領土問題のある北方四島では、先般、海産物養殖や観光事業などの共同経済活動が合意された。
世界遺産でもある知床国立公園(知床半島)の羅臼側からは、1000m級の雪を冠した山々が連なる国後島が横たわる姿を眼前にみることができる。
手元にある第二次世界大戦前の観光案内書によると、海岸から山頂まで高山植物が咲き乱れ、各地に温泉もある、風光明媚な北方四島だという。
この地に、経済活動だけではなく、自然も両国が共同で管理する「国際平和公園」を設定することなどは、非現実的な、夢のまた夢なのだろうか。
国境によって分断された生態系。
一体、この地球上に、国境のない土地、大陸はあるのだろうか?
ある! それが南極大陸だ。
地球で最後の陸上フロンティア、南極は、地球温暖化による氷山の融解、棚氷の崩壊やフロンガスなどによるオゾン層破壊に伴うオゾンホールの出現など、まさに地球規模の環境問題の現場でもある。
降り積もった氷雪は、3000mもの厚さの氷床となり、そこには当時の大気が閉じ込められていて、太古の二酸化炭素量などを計測することができる。
50万年以上前の氷床コアも掘削され、それらの分析などによると、産業革命以降に大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇しているのは明らかだ。
かつて、南極の氷でオンザロックのウィスキーを賞味する機会があった。
パチパチと音を立てて氷から湧き出る太古の空気にロマンを感じ、安物ウィスキーが上品な味に思えた。
話は脇道に逸れたけど、南極は、人類共通の財産として「南極条約」(1959)により領土権や採掘権が凍結されている。
そこで、ペンギンなどの生き物と南極の自然環境を保護するため、世界共通の「南極世界公園」が構想されている。
この構想は、第2 回世界国立公園会議(1972)で「世界公園」化の勧告が採択され、1989 年の第44 回国連総会でも支持されたものだ。
現在までのところ世界公園自体は設定されていなけれど、資源利用や観光客の増加による環境汚染などの懸念から「環境保護に関する南極条約議定書」(1991)が合意されている。
日本も、国内法として「南極地域の環境の保護に関する法律」(1997)を制定し、設定された南極特別保護地区への立ち入り制限などを規定している。
しかし南極は、決して紛争のない平和の大陸として保証されているわけではない。
単に「領土請求権が凍結」されているだけなのだ。
国境を越えて共同管理されている国際公園は、人間の都合で線引き分断された生態系の保全などに貢献している。
さらに進めて、国際平和への道程として国際平和公園が世界各地で拡大されると良いのだけれども。
それにしても、南極は私が未だ訪問したことのない唯一の大陸だ。
いずれは訪問したいけれどね・・・
【本ブログ内関連記事】
国立公園と国際紛争 ―国際平和公園(1)
知床旅情と世界遺産で急増した観光客 -国立公園 人と自然(5) 知床国立公園
ペリカンの棲む湿地と海水浴場の賑わい -国立公園 人と自然(番外編5) ディヴィアカ・カラヴァスタ国立公園(アルバニア)
世界遺産への期待と多難な課題 - 国立公園 人と自然(22) やんばる国立公園
海岸の平和光景と戦争の記憶
対立を超えて -『生物多様性と保護地域の国際関係 対立から共生へ』出版4
定期的な更新もできず、皆様のブログへの訪問も数回分をまとめてということになってしまいますが、ご容赦ください。
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DMZを平和のための「国際平和公園」として存続させることは、夢物語なのだろうか。
平和条約の締結もままならない日本とロシア両国の関係だけれども、領土問題のある北方四島では、先般、海産物養殖や観光事業などの共同経済活動が合意された。
世界遺産でもある知床国立公園(知床半島)の羅臼側からは、1000m級の雪を冠した山々が連なる国後島が横たわる姿を眼前にみることができる。
手元にある第二次世界大戦前の観光案内書によると、海岸から山頂まで高山植物が咲き乱れ、各地に温泉もある、風光明媚な北方四島だという。
この地に、経済活動だけではなく、自然も両国が共同で管理する「国際平和公園」を設定することなどは、非現実的な、夢のまた夢なのだろうか。
国境によって分断された生態系。
一体、この地球上に、国境のない土地、大陸はあるのだろうか?
ある! それが南極大陸だ。
地球で最後の陸上フロンティア、南極は、地球温暖化による氷山の融解、棚氷の崩壊やフロンガスなどによるオゾン層破壊に伴うオゾンホールの出現など、まさに地球規模の環境問題の現場でもある。
降り積もった氷雪は、3000mもの厚さの氷床となり、そこには当時の大気が閉じ込められていて、太古の二酸化炭素量などを計測することができる。
50万年以上前の氷床コアも掘削され、それらの分析などによると、産業革命以降に大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇しているのは明らかだ。
かつて、南極の氷でオンザロックのウィスキーを賞味する機会があった。
パチパチと音を立てて氷から湧き出る太古の空気にロマンを感じ、安物ウィスキーが上品な味に思えた。
話は脇道に逸れたけど、南極は、人類共通の財産として「南極条約」(1959)により領土権や採掘権が凍結されている。
そこで、ペンギンなどの生き物と南極の自然環境を保護するため、世界共通の「南極世界公園」が構想されている。
この構想は、第2 回世界国立公園会議(1972)で「世界公園」化の勧告が採択され、1989 年の第44 回国連総会でも支持されたものだ。
現在までのところ世界公園自体は設定されていなけれど、資源利用や観光客の増加による環境汚染などの懸念から「環境保護に関する南極条約議定書」(1991)が合意されている。
日本も、国内法として「南極地域の環境の保護に関する法律」(1997)を制定し、設定された南極特別保護地区への立ち入り制限などを規定している。
しかし南極は、決して紛争のない平和の大陸として保証されているわけではない。
単に「領土請求権が凍結」されているだけなのだ。
国境を越えて共同管理されている国際公園は、人間の都合で線引き分断された生態系の保全などに貢献している。
さらに進めて、国際平和への道程として国際平和公園が世界各地で拡大されると良いのだけれども。
それにしても、南極は私が未だ訪問したことのない唯一の大陸だ。
いずれは訪問したいけれどね・・・
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こんにちは^^
南極、わたくしも行ってみたいです。
結構浪漫のある所だとは知らなかったです。そのオン・ザ・ロックの氷はどうやって手に入れられたのですか? 南極から運ばれたものですか? わたくしも飲んでみたいわ^^
by mimimomo (2017-09-23 18:12)
mimimomnoさん
数十年前になりますが、南極観測隊からおすそ分けでした。
銀座のバーではえらく高い南極氷のオンザロックがあるとか、真偽のほどは定かではありませんが。
by staka (2017-09-23 18:30)